定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 実績PER 10倍以下(決算期末の株価をもとにした値)
- PBR 1倍以下(同)
- 清原式ネットキャッシュ比率 0.75以上(独自指標:(流動資産+投資有価証券×0.7−負債合計)÷時価総額)
- 直近7年の営業利益が毎年0円以上
- 売上高の5年成長率(CAGR)5%以上
国土強靱化の予算要求が、8兆円を超えた。その仕事を柱にしながら、割安なまま放っておかれている国土強靭化関連銘柄を探した。刀は割安で財務が堅く、業績が伸びている87社に絞り、AIが一社ずつ有報を読んで、4社を支持した。
日刊建設工業新聞によると、内閣官房国土強靱化推進室は9月、2027年度の国土強靱化関係予算の概算要求を8兆1,827億円にまとめた。前年度当初の1.53倍だ。国土交通省分は5兆688億円で、川の流域全体で水害に備える「流域治水」、道路の老朽化対策、上下水道の耐災害性の強化と更新などに充てる。土台には、2026〜2030年度の5年間で事業規模おおむね20兆円強とする「第1次国土強靱化実施中期計画」がある。
災害と老朽化は、この瞬間も進んでいる。熊本県は8月、2026年熊本地震で壊れた道路や橋の復旧などに、422億円の補正予算を専決処分した。下水道では、国土交通省の全国特別重点調査で、口径2m以上の古い管のうち748kmで対策が必要と判定された。
この仕事は、日本の会社の業績にもう出ている。新潟の建設会社・植木組は、官公庁から受けた土木工事の完成工事高が140億円から192億円へ37%増えた。建設コンサルタントのE・Jホールディングスは、有報に「第1次国土強靭化実施中期計画」を挙げ、底堅い経営環境が続くと書いている。
国土強靱化は、5年分の事業の規模が決まっている。古くなる橋や下水道管は、時間とともに確実に増える。先の需要が読みやすい仕事だ。
ただ、株価は需要だけでは決まらない。名前が知られ、売買の多い会社ほど買われ、評価が上がる。地方の建設会社や建設コンサルタントは小さく、売買も少なく、証券会社のアナリストにも追われにくい。同じ国の仕事をしていても、見向きされないぶん安いまま放っておかれているはずだ。
そこで、割安で財務が堅く、業績が伸びている会社のうち、国土強靱化の仕事が事業の柱になっている会社を、刀で財務データと有報から探した。
“Among cheap, financially sound companies with growing sales, we want those whose core business is construction work, products, or services for public infrastructure in Japan, such as roads, bridges, rivers and levees, ports, or water supply and sewerage, and whose orders or sales for this work are increasing.”
日本語訳:割安で財務が堅く、売上が伸びている会社のうち、道路・橋・河川と堤防・港湾・上下水道などの公共インフラの工事・製品・サービスが事業の柱で、その受注か売上が増えている会社を探したい。
刀の画面で、割安さ・財務の堅さ・業績の安定と伸びを5つの財務条件にして87社に絞り、この企業像を3つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、4社を支持した。
87社の判定は、支持4社・要確認4社・反証あり79社だった。以下は、建設会社、建設コンサルタント、ポンプの会社の順に並べた6社。
「(1)受注環境の変化について 予想を上回る公共事業の削減や、入札方法等の制度改正が行われた場合には、業績に影響を受ける可能性があります。」有報を見る ↗
「一般土木は、治山・治水工事、上・下水道工事、土地造成工事、港湾・空港関連工事、道路工事等の一般土木工事を担当しております。」有報を見る ↗
「当社グループが中核事業としている建設業界におきましては、受注環境は国土強靭化政策の継続による公共投資や底堅い民間設備投資に支えられ、引き続き堅調に推移しました。」有報を見る ↗
「特に、2025年6月に閣議決定された「第1次国土強靭化実施中期計画」では、2026年度からの5年間で約20兆円規模の国土強靭化施策が実施されることとなっており、当社グループが属する建設コンサルタント業界においては、国内事業を中心に底堅い経営環境が継続するものと見込まれます。」有報を見る ↗
「また、建設コンサルタント事業の現在の受注環境は、防災・減災、国土強靱化関連に加え、防衛省の基地整備関連も引き続き高い水準の需要があることから、今後も良好な受注環境が持続するものと考えております。」有報を見る ↗
「このような中で、当社グループの当連結会計年度における受注額は、官需部門と国内民需部門が増加したことから、前連結会計年度比100.8%の26,963百万円となりました。」有報を見る ↗
なお、支持のうち、ソネックは土木部門で河川・道路・下水道の公共工事を手がけるが、土木は完成工事高の5.4%で、官公庁の工事も多くは学校などの建物のため外した。要確認のうち、守谷商会・協和コンサルタンツ・電業社機械製作所は、公共インフラ向けの受注か受注残が増えていたため加えた。藤井産業は建設資材などの商社で、公共インフラ向けの割合が読めないため要確認のままにした。
詳細な結果を見る結果は2026年10月22日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
6社のPBRは0.58〜0.86倍、PERは4.8〜9.5倍だった。同じ公共の土木を手がける鹿島建設・大成建設・大林組・清水建設は、PBR1.9〜2.8倍、PER約15倍で買われている。売上の5年成長率は、6社が年5〜7%、大手4社が年7〜10%で、大きな差はない。
差は、会社の規模に沿って開く。上場する建設業145社を時価総額の小さい順に5つに分けると、PBRの中央値は時価総額600億円台を境に一段上がる。
| 時価総額 | PBR中央値 | PBR1倍未満 |
|---|---|---|
| 6〜92億円 | 0.88倍 | 29社中15社 |
| 93〜257億円 | 0.72倍 | 29社中19社 |
| 275〜639億円 | 0.91倍 | 29社中18社 |
| 643〜2,257億円 | 1.33倍 | 29社中4社 |
| 2,258億円〜 | 1.90倍 | 29社中1社 |
時価総額640億円以下の87社のうち52社がPBR1倍未満で、それより大きい58社では5社しかない。名前が知られ、売買の多い会社ほど買われて評価が上がる。地方の建設会社や建設コンサルタントは、同じ国の仕事をしていても見向きされにくく、割安なまま残っている。今回の6社は、どれも時価総額300億円未満だ。
ただ、利益が大きく振れる会社なら、安いのは当然だ。その点で、建設コンサルタントは利益が振れにくい。E・Jホールディングスの営業利益は直近5年で43〜47億円、建設技術研究所は70〜100億円で推移した。大手ゼネコンは工事の値段を受注した時点で決めるため、資材や人件費が上がると利益が削られやすく、清水建設は2024年3月期に営業赤字だった。
国土強靱化の予算は、5年分決まっている。今回探したのは、その仕事を柱にしながら、注目されないまま割安に放っておかれている会社だ。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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