定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 銀行・証券・保険・その他金融と、ゆうちょ銀行を持つ日本郵政を除く
- 金利感応度 3%以上(独自指標:(現金 − 有利子負債)× 0.25% ÷ 税引前利益。金利が0.25%上がったとき、税引前利益が何%増えるかの目安)
- 現金 ÷ 純資産 1以上(独自指標:自分の資本より多くの現金を持っている)
日銀の利上げで、預金の金利が上がり始めた。銀行以外で、消費者から預かったお金に利息がつく会社を探した。刀は独自の指標で約3,800社を54社に絞り、AIが有報を一社ずつ読んで、8社を支持した。
日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1.25%程度に引き上げると決めた。6月から3か月での利上げで、1995年以来の高い水準になる。同じ日、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行は、普通預金の金利を0.4%から0.5%に上げると発表した(11月2日から)。
金利が上がって得をするのは、銀行だけではない。消費者から預かったお金が一時的に口座にたまる会社も、その利息を受け取る。QRコード決済などを加盟店にまとめて提供するネットスターズは、加盟店へ払う前の決済代金を預り金として持つ。有報によると、2025年度の受取利息は1億4,227万円で、税引前利益の35%にあたった。営業外収益は前の年の1.9倍になった。
銀行以外で、消費者のお金を預かり、金利の上昇が利益に効く会社はどこか。刀で、日本株全体から探した。
“Outside banks and other financial companies, companies that hold customers' money as part of their business, such as payment funds awaiting transfer to merchants, collection funds, prepaid balances, or travel payments received in advance, so that higher Japanese interest rates raise their profit.”
日本語訳:銀行などの金融を除き、事業の仕組みとして消費者のお金を預かる会社を探したい。たとえば加盟店へ渡す前の決済代金、収納代行で集めた代金、前払いの残高、前受けした旅行代金など。日本の金利が上がると、利益が増える会社。
この企業像を、刀の数式で作った2つの独自指標と1つの問いに分けた。問いは英語で入れ、AIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れた。
有報の文章を読み、8社を支持した。
54社の判定は、支持8社・要確認34社・反証あり12社だった。以下は、決済、収納代行、宿泊予約、旅行、ネットショップ、通信講座から1社ずつを先に挙げ、残りを並べた10社。
「当該時点で当社において、加盟店への支払債務が発生し、預り金として計上します。」有報を見る ↗
「当社グループの収納代行サービスは、事業者に代わり収納した代金を、分別管理された当社名義の預貯金口座に一時保管した後、所定の期日に事業者に送金するスキームとなっております。」有報を見る ↗
「これは主に、tripla Bookにおける宿泊代金の預り金が8,255,553千円増加したことによるものであります。」有報を見る ↗
「同時に顧客からの預り金の性質を有していることに鑑み、前受金相当の資金につきましては、価値変動リスクにさらすことなく、現金及び現金同等物として保有することを基本方針としております。」有報を見る ↗
「なお、「BASEかんたん決済」は、エスクロー決済(注)であり、「BASE」を利用しているショップとそのショップで買い物をされる購入者とが安心して取引できるよう、当社が仲介することで取引の安全性を確保しております。」有報を見る ↗
「受領した受講料は、一旦前受金として計上され、その後、会計上の売上高がサービス提供期間(コースの受講期間)に対応して期間按分されます(発生ベース売上)。」有報を見る ↗
「「Creema」上で発生した取引の代金を当社にて一時的にお預かりし、作品到着後にクリエイターに代金をお支払いする「あんしん決済システム」」有報を見る ↗
「また、ユーザー間の商取引の円滑な決済のため、エスクロー方式により当社グループが報酬を受け取るべきフリーランスの代理として仕事の依頼者から一時的に報酬を受領する等、決済の領域でもユーザーへの価値を提供しております」有報を見る ↗
「そのため「ココナラスキルマーケット」では、購入者の支払代金について取引完了まで当社グループ内に留保する仕組み(エスクロー機能)を提供することにより、不適切取引に対する牽制を図り、ユーザー間取引にかかる安全性向上に努めております。」有報を見る ↗
「チケット・コンテンツの売買代金及び「メンバーシップ」の会員費である預り金の増加67,522千円」有報を見る ↗
なお、支持のうちフリーは、有報に預かり金の仕組みを書いた文が見つからないため外した。要確認のうち、BASE・ランサーズ・ココナラは、取引が終わるまで代金を預かるエスクローの仕組みを有報に書いているため加えた。
詳細な結果を見る結果は2026年10月16日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
10社の、現金に対する受取利息の割合(利回り)を並べた。受取利息は直近の決算期の1年分、現金は期末の残高で、粗い目安だ。感応度は、金利が0.25%上がったとき税引前利益が何%増えるかの目安。
| 会社 | 現金 | 利回り | 感応度 |
|---|---|---|---|
| ネットスターズ | 362億円 | 0.39% | 22.5% |
| クリーマ | 30億円 | 0.19% | 11.4% |
| tripla | 180億円 | 0.17% | 8.4% |
| ココナラ | 29億円 | 0.17% | 3.2% |
| BASE | 269億円 | 0.15% | 4.1% |
| モイ | 30億円 | 0.15% | 7.1% |
| ユーラシア旅行社 | 20億円 | 0.13% | 4.0% |
| KIYOラーニング | 41億円 | 0.12% | 3.4% |
| ランサーズ | 21億円 | 0.12% | 5.7% |
| ビリングシステム | 278億円 | 0.06% | 11.6% |
ほとんどの会社は0.1%台で、普通預金の金利並みだ。ネットスターズだけが0.39%と高く、受取利息は税引前利益の35%にあたる。預かったお金が、すでに利益の大きな柱になっている。
反対に、ビリングシステムは278億円の現金を持ちながら、利回りは0.06%にとどまる。有報によると、収納代行で預かった代金は、事業者の財産を守るために決済性の預貯金口座で分別管理している。決済用の預金は、全額が保護される代わりに利息がつかない。預かる額が大きくても、利息のつかない口座に置けば、金利が上がっても得をしない。
決済代行の大手、GMOペイメントゲートウェイは約2,200億円の現金を持つが、税引前利益が319億円と大きいため、感応度は1.7%で条件に入らなかった。金利の上昇が利益を大きく動かすのは、預かる額に比べて、利益がまだ小さい会社だ。
感応度は、預金の金利が政策金利と同じだけ上がると置いた値だ。実際の預金金利は、政策金利に遅れて動く。9月の利上げで政策金利は0.25%上がったが、3メガバンクの普通預金の上げは0.1%で、適用も11月からだ。受取利息は直近の決算期の実績で、9月の利上げはまだ入っていない。預金金利はこれから追いつく余地があり、利息のつかない口座に置いている会社の中から、置き場所を変えて利息を増やす会社が出てくるかもしれない。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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