定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報の「事業の内容」か「経営成績の分析」に「省エネ」を含む
- または、有報に「燃料転換」「ヒートポンプ」「断熱」「排熱」のどれかを含む
原油が1バレル110ドルを超えたまま、年末も100ドルを上回るという予想が相次ぐ。では、燃料が高いほど製品が売れる省エネ関連銘柄はどこか。刀は有報に「省エネ」「燃料転換」などを書く387社に絞り、AIが一社ずつ読んで、4社を支持した。
ホルムズ海峡の混乱が続き、原油が高止まりしている。北海ブレント原油は10月27日に1バレル113.72ドル。中東の和平協議への期待で2ドル超下げても、100ドルを大きく上回る。10月は、海峡とその周辺で商船への攻撃が最も多い月になった。
先行きも、高止まりが予想されている。UBSは年末の予想を100ドルから110ドル前後に引き上げた。調査会社のBMIは、10〜12月の平均を100ドル超、来年1〜3月を110ドル超と見る。米国とイランが来年早々に海峡の再開で合意するという前提でも、この水準だ。
日本では、ガソリンの全国平均が10月19日に1リットル170.2円。1リットル42.8円の補助で抑えた値で、補助がなければ213.2円になる。補助は12月から段階的に縮める方向で検討されている。
燃料高を追い風と書く会社もある。遠藤照明は直近の有報で、国内では電気料金の高騰が追い風になったと書いた。原油が跳ねたあとの2026年4〜6月期も、売上を3.8%、営業利益を16.7%伸ばした。
原油高で得をする会社というと、石油開発や元売りが先に挙がる。原油そのものの値段が上がるからだ。ただ、それは原油の値段に連れて上がり下がりする。
もう一つ、燃料が高いほど売りやすくなるものがある。燃料や電気を減らす設備だ。省エネ設備は、浮いた燃料代で元を取る買い物なので、燃料が高いほど元が早く取れ、買う理由が強くなる。
そこで、顧客の燃料や電気を減らすものを事業の柱にしていて、エネルギー価格の上昇で需要が増えると有報に書いている会社を、刀で探した。
“We want companies whose products or services are mainly meant to cut customers' use or cost of oil, fuel, gas or electricity, that make up a large part of their revenue, and whose annual reports say that higher energy prices raise demand for them.”
日本語訳:顧客の石油・燃料・ガス・電気の使用量や費用を減らすための製品やサービスが売上の大きな部分を占め、エネルギー価格の上昇がその需要を押し上げると有報に書いている会社を探したい。
刀のMCP連携を使い、Claudeが条件を組んで実行した。有報に「省エネ」「燃料転換」「ヒートポンプ」「断熱」「排熱」のどれかを書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。実行とデータの時点は2026年10月28日。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、4社を支持した。
387社の判定は、支持4社・要確認61社・反証あり322社だった。支持の4社を先頭に、要確認から加えた6社をその後に並べた。
「国内では電気料金の高騰及びサステナビリティに対する社会的要請の高まりが追い風となり、海外ではそれぞれの市場に適合した製品が顧客から高い評価を得ており、当連結会計年度における売上高は、55,473百万円(前連結会計年度比3.2%の増収、業績予想比0.4%の減収)となりました。」有報を見る ↗
「給湯器の販売台数が年間1,000万台にのぼるアメリカ市場では、その約9割がタンクに湯を貯めて使用する貯湯式給湯器となっておりますが、エネルギーコストの上昇による経済性への感度の高まりや州ごとの省エネ規制の強化から、より高効率な給湯器の需要が高まっております。」有報を見る ↗
「さらに「GX実現に向けた基本方針」に基づく主力電源化の検討が進む中、円安を背景としたエネルギーコストの上昇リスクを回避するため、企業の業種・規模を問わず、自家消費型太陽光発電の導入やコーポレートPPA(電力購入契約)への関心が急速に高まりました。」有報を見る ↗
「足元ではエネルギー価格の動向に対する不確実性が増加しており、エネルギーコストの抑制やエネルギーの効率的な利用に対する需要が高まっています。」有報を見る ↗
「エネルギー消費量の削減やエネルギーコストの削減、環境対策等を求める顧客に対して、工場や事業所の省エネルギー診断を行い、顧客のエネルギーに関する課題やニーズを特定し、コージェネレーションシステム、燃料転換設備(※1)及び各種ユーティリティ設備等による省エネルギー設備を提案することによりEPCを受注しております。」有報を見る ↗
「業務用空調機器市場では、カーボンニュートラル政策の推進による政府物件・工場・グリーンビル(環境性能が高まるよう配慮して設計された建物)などの市場に対し、省エネを切り口とした提案を強化しました。」有報を見る ↗
「海外においては、環境負荷低減に伴うボイラの提案及び省エネルギー提案営業を強化してまいります。」有報を見る ↗
「空調機器につきましては、ハウスメーカー向けのヒートポンプ式熱源機や全館空調システムが好調に推移しましたが、欧州向けのヒートポンプ式熱源機の販売が振るわず、全体で186億85百万円(同0.5%減)となりました。」有報を見る ↗
「当社ではけい酸カルシウム保温材の販売にとどまらず、その施工請負までを一貫して行っており、高性能断熱材を製造し、それを用いて断熱工事を行うことで顧客の事業における省エネ効果やCO2排出の削減に貢献し、より高いレベルの品質管理を実現しています。」有報を見る ↗
「売上面では、電気炉用排ガス処理設備や、機能材火炎内処理設備、国内鉄鋼向け加熱炉省エネ改造工事、海外向け脱炭素型大型ステンレス光輝焼鈍設備などの工事が進捗し、売上高は13,828百万円(前期比120.0%)と増加しました。」有報を見る ↗
なお、要確認から加えた6社は、燃料や電気を減らす設備が事業の柱と判定され、原文でも確かめられた会社だ。いずれも、エネルギー価格の上昇で需要が増えたとは有報に書いていない。事業の柱と判定された会社にはタマホームなど住宅の会社も含まれたが、省エネは住宅の性能の一つなので加えなかった。
387社のうち、燃料や電気を減らすものが事業の柱と判定されたのは47社。そのうち、エネルギー価格の上昇で需要が増えたと有報に書いていたのは4社だけだった。最新の有報の多くは、原油が跳ねた2026年3月までの年度を書いている。
一方で、事業の柱と判定された会社の中に、原油高を逆風と書く会社があった。灯油や重油を燃やす暖房機を作る会社だ。
| 会社 | 売るもの | 原油高の書き方 |
|---|---|---|
| 遠藤照明 | LED照明 | 電気料金の高騰が追い風 |
| リンナイ | 高効率の給湯器 | 米国で高効率機の需要増 |
| グリーンエナジー | 自家消費の太陽光 | 導入への関心が急速に高まった |
| コロナ | 石油暖房機・給湯機 | 灯油高で買い控えの恐れ |
| ネポン | ハウス用の温風暖房機 | 原油価格が農家の投資意欲に影響 |
コロナは、石油暖房機と石油給湯機の燃料は灯油で、灯油が高騰すると買い控えや、ほかの熱源への切り替えが進むおそれがあると書く。ビニールハウス用の暖房機を作るネポンは、燃料の大半を石油に頼るため、原油価格が生産者の設備投資の意欲を左右すると書く。そのネポンも、電気で動くヒートポンプとの併用に力を入れている。
原油高の恩恵銘柄というと、石油開発や元売りが先に挙がる。だが、燃料が高いあいだに注文を伸ばせるのは、燃料を減らすものを売る会社だ。同じ暖房や給湯でも、灯油や重油を燃やす機器は買い控えられ、需要は高効率機やヒートポンプ、照明の更新のように燃料と電気を減らす側へ移る。
刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。複雑な仮説・企業像に対し、あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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