定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報の業績説明に「価格改定」を含む
食品の値上げは、今年も2万品目を超えた。では、値上げしても売れる量を落とさなかった会社はどこか。刀は有報の業績説明に「価格改定」と書く343社に絞り、AIが一社ずつ読んで、60社を支持した。
帝国データバンクが2026年9月30日に公表した調査によると、10月に値上げされる飲食料品は3,153品目で、9月の4,965品目に続いて2か月続けて3千品目を超えた。2026年の値上げは判明分で20,187品目になり、2年続けて2万品目台に乗った。値上げ1回あたりの平均値上げ率は10%。理由に原材料高を挙げた品目が91.3%と最も多く、中東情勢を挙げた品目も27.8%あった。
値上げは、日本の会社の業績にもう出ている。プリマハムは、2025年4月に2022年2月から数えて7回目のハム・ソーセージの価格改定をしたうえで、業界全体の生産数量が前年を下回るなか、販売数量を増やしてシェアを上げた。花王の消費財の売上は実質2.5%増え、その内訳は数量が1.7%、価格が0.8%だった。
では、値上げしても売れる量を落とさなかった日本の会社はどこか。刀で、有報から探した。
“直近の決算期に自社の製品やサービスを値上げし、それでも販売数量・客数・契約数などを落とさなかった(増やした)会社を探したい。原材料の相場やサーチャージに自動で連動するだけの値上げや、金額の売上が増えただけの会社は含めない。”
有報の業績説明に「価格改定」と書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、60社を支持した。
343社の判定は、支持60社・要確認95社・反証あり188社だった。以下は、食品・日用品、素材・機械、ソフトウェア・サービスから2社ずつを先に挙げ、残りを同じ分野の順に並べた35社。
「国内事業は、北海道産ばれいしょの収量減の影響からポテトチップスの売上高は前連結会計年度並みにとどまりましたが、価格改定効果とばれいしょ原料以外のスナック菓子、シリアル食品の販売数量増により、増収となりました。」有報を見る ↗
「グローバルコンシューマーケア事業売上高は、前期に対して2.4%増の1兆2,830億円(為替0.0%減、実質2.5%増(内訳:数量等1.7%増、価格0.8%増))となりました。」有報を見る ↗
「主な売上高増加要因として、インキ事業のオフセットインキやグラビアインキのメディカルパッケージ向け製品、化成品事業の機能性包材用途向け製品、モビリティ用途向け製品等が増加したことによる販売数量要因で17億1千万円、また、製品ポートフォリオ見直しに伴う高付加価値製品へのシフトや、販売価格改定による販売価格差要因で13億6千4百万円増加となり、結果として前年度比31億1千9百万円の増収になりました。」有報を見る ↗
「上記の営業面の努力は、車両販売台数および販売構成の変化2,100億円ならびに価格改定を中心としたその他営業面の努力3,350億円などを含んでいます。」有報を見る ↗
「また、為替変動やセキュリティ強化などによるHENNGE Oneのインフラコストの増加や開発人員の拡充等の要因はあるものの、HENNGE Oneの価格改定等の影響により、売上総利益率は前連結会計年度比2.4ポイント増の86.5%となりました。」有報を見る ↗
「また、2025年6月には、昨今のコスト上昇等に対応するための価格改定を実施いたしましたが、改定後も診療件数は前年比で増加しており、飼い主様に寄り添い、多様な治療の選択肢をご提案するという当社の提供価値が、多くの飼い主様に受け入れられていることの証左であると認識しております。」有報を見る ↗
「業界全体では、生産数量が前年を下回る厳しい環境が継続していますが、当社は販売数量を増やし、シェアは昨年度に引き続き上昇いたしました。」有報を見る ↗
「メキシコでは25年4月に実施した価格改定後もカップ麺、袋麺ともに好調に推移いたしました。」有報を見る ↗
「売上高は、2025年3月1日納品分より実施した価格改定による販売価格の上昇に加え、主力であるスティックタイプのカニかまを中心とした販売数量が伸長しました。」有報を見る ↗
「価格改定による単価上昇とタマゴ商品販売数量増により増収」有報を見る ↗
「営業利益は、加工食品事業及び酵母・バイオ事業における出荷増及び価格改定の実施等により、82億24百万円(前期比149.6% ※)となりました。」有報を見る ↗
「外食事業については、販売が好調に推移したこと、および価格改定を実施したことから売上高は前年を上回りました。」有報を見る ↗
「そのような中、「サッポロ生ビール黒ラベル」の缶製品の売上数量は前期比107%、「ヱビスビール」の缶製品の売上数量は前期比102%と好調に推移したことにより、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、総需要を上回る前期比99%になりました。」有報を見る ↗
「当連結会計年度の業績は、売上高は道外ボトラーへの販売は減少したものの、道内販売は夏場の好天の恩恵に加え、価格改定が奏功し、量販店、飲食店、Web販売が伸長、自動販売機も業界がダウントレンドの中、前年を上回ることが出来たことで59,086百万円(前年同期比3.9%増)となりました。」有報を見る ↗
「これは主に、液卵販売数量が増加したことや鶏卵相場に連動して液卵の販売単価が高値で推移したこと、また、得意先への液卵の安定供給のための原料調達コスト上昇、その他様々なコストの上昇に対応すべく販売単価の改定を行ったこと等によるものであります。」有報を見る ↗
「工業用製品及び家庭用製品では、販売先の新規開拓が進んだことに加え、販売価格の改定を進めたことにより、売上高は増加いたしました。」有報を見る ↗
「国内市場では、販売数量が底堅く推移したことに加え、継続的に取り組んでいる価格改定の効果により売上高は前年同期を上回りました。」有報を見る ↗
「収益においては、生産数量の増加による増益効果に加え、人件費、運搬費および諸資材の価格高騰に対応するために進めた生産性改善と製品価格改定効果がこれら経費の上昇を吸収し増益となりました。」有報を見る ↗
「なお、営業利益は前期比で876百万円の増益となりましたが、定量的な増減要因として、増加要因は主に中国、北米、台湾の需要好調による販売数量の増加(1,170百万円)、国内を中心とした販売単価の見直し(860百万円)などであります。」有報を見る ↗
「そのような中、ビニル系床材と壁装材を中心とした販売数量の増加や製造原価の低減効果に加え、一部製品の上代価格改定による販売価格の底上げが進展し、利益は前年を上回る結果となりました。」有報を見る ↗
「増収となった要因は、価格改定に加え、ガラス、セメント、非鉄金属向けの受注増が主な要因であります。」有報を見る ↗
「これらの結果、販売数量は前年度に対して1.6%増加し、売上高は25,572,238千円(前期比4.6%増)と増収となりました。」有報を見る ↗
「肥料事業は、販売数量の増加に加え、原料価格高騰に伴う6月及び11月の肥料価格改定により、売上高35,164百万円(前年同期比4.4%増)」有報を見る ↗
「損益面につきましては、資材価格及び労務費の上昇が続く厳しい事業環境のもと、当社グループでは、製品価格改定による採算性の改善に取り組むとともに、全社横断のコスト革新プロジェクトを前年度から立ち上げ、製造工法の見直しや業務効率の改善など、収益性向上に向けた取り組みを進めました。」有報を見る ↗
「クラウド事業は、主力サービスである楽楽精算が市場の成熟が進む中でも新規受注を着実に積み上げたことに加え、価格改定の効果も寄与し、引き続き堅調に推移したことから、事業全体の売上高成長を牽引いたしました。」有報を見る ↗
「当連結会計年度は、建築システム事業の全事業において新規顧客の獲得が進むとともに、既存顧客におけるライセンス(アカウント)増設が順調に推移したことに加え、価格改定による単価改善効果が通期にわたり寄与し、ARR(注1)及びARPA(注2)の拡大に結びつきました。」有報を見る ↗
「また、同メジャーバージョンアップにあわせて、収益性の向上と継続的なサービス提供を実現することを目的に、買い切り版の価格を改定し、最大8%の値上げも行っております。」有報を見る ↗
「rakumo関連サービスにおいては、2025年12月末のクライアント数は2,552社(2024年12月末比79社増)、ユニークユーザー数は579千人(同6千人増)となりました。」有報を見る ↗
「当連結会計年度においては、「No.1ビジネスサポート」の保有契約数の増加(前期比5,070件⇒5,188件)、平均顧客単価の増加(前期比12,400円⇒14,400円)と各指標も増加しており、保有契約数が5,000件を突破した以降も引き続き伸長しております。」有報を見る ↗
「この結果、少子化が進行する中でも、塾生数は小学部が全体を牽引し、前期比4.0%増の50,837名と伸長したことに加え、一部商品の価格改定による効果もあり、当連結会計年度の売上高は、前期比7.4%増の37,658百万円となりました。」有報を見る ↗
「スポーツクラブ事業では、6月以降、新規入会者数が回復基調に転じ、在籍会員数は前年を上回る水準で推移いたしました。」有報を見る ↗
「これらの施策を実行した結果、来店客数は年間を通じて好調を維持し、既存店売上高は46ヶ月連続で対前年を上回りました。」有報を見る ↗
「ドミナント戦略による効果やネット販売強化施策などにより宿泊利用が堅調であったことに加え、6月の価格改定により下期の客単価が向上したこと及び4店舗の新規出店により、売上高は195億60百万円(前事業年度は180億29百万円)となりました。」有報を見る ↗
「その他の収入については、旅客数の増加に加え、ラウンジや駐車場における価格改定効果や、外貨両替所、広告料収入等が増加したこと等により、前年を上回りました。」有報を見る ↗
「さらに、一部の顧客との間で、海上運賃や価格が上昇する日本国内の陸送費用などの価格改定交渉を進め、価格転嫁に取り組んでまいりました。」有報を見る ↗
なお、支持のうち25社は外した。有報に販売数量の減少や客数への下押しを書いている会社、公定価格の改定やサーチャージによる会社、値上げ前の駆け込み需要による会社、数量や客数の記述がなく金額の売上が増えただけの会社、値上げした事業と数量が増えた事業が別の会社である。
詳細な結果を見る結果は2026年10月18日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
物価の数字と、刀が有報を読んだ数字を並べた。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 2026年の飲食料品の値上げ(判明分) | 20,187品目 |
| 値上げ1回あたりの平均値上げ率 | 10% |
| 中小企業の価格転嫁率(2026年3月) | 54.2% |
| 業績説明に「価格改定」と書いた会社 | 343社 |
| そのうち、この決算期に自社の値上げを書いた会社 | 313社 |
| 外食の客単価(2025年) | 前年比104.3% |
| 外食の客数(2025年) | 前年比102.9% |
値上げそのものは、もう珍しくない。刀が業績説明に「価格改定」と書く343社を読むと、313社が、この決算期に自社の製品やサービスを値上げしたと書いていた。食品だけでなく、化学・紙・ガラスなどの素材、機械、ソフトウェア、サービスまで、業種は幅広い。
中小企業庁の調査では、中小企業がコストの上昇分のうち価格に乗せられたのは54.2%だった。原材料費では55.7%、労務費では50.0%にとどまる。値上げしても、コストの上昇を埋めきれない会社が多い。そのうえ数量まで落ちれば、利益は二重に削られる。帝国データバンクも、値上げだけではコスト増を十分に吸収できず、食品メーカーの収益環境は厳しいと書いている。
外食では、値上げのあとに客数を保てるかどうかの分かれ方が、業界の統計にも出ている。日本フードサービス協会によると、2025年の外食の売上は前年比107.3%で、押し上げたのは客単価の上昇(104.3%)だった。客数も102.9%と前年を上回ったが、協会は、客単価の上昇などで客数の頭打ち感が少しずつ進み、持ち帰り米飯・回転寿司(96.0%)や焼き肉(98.2%)では客数が前年を下回ったと書く。値上げをしない会社や、相対的に安いファーストフードの好調も続いているという。
有報も同じ姿を示す。値上げを書いた外食21社のうち、自社の客数が減った、または伸び悩んだと書いたのは7社、増えた(保った)と書いたのは5社だった。価格改定のあと客数が前年を下回って推移したと書く会社もあれば、ラーメン山岡家のように価格改定を複数回しながら来店客数の好調を保った会社もある。串カツ田中も、新しい看板メニューなどで客数を前年の113.1%に増やした。同じ値上げ局面でも、客数は会社ごとに分かれている。
帝国データバンクは、値上げの波は10月をいったんのピークに11月は1,469品目へ減るとみる一方、中東情勢や円安を背景に2027年にかけても断続的な値上げが続くと予想している。値上げが続くほど、値上げしても数量を保てるかどうかが、会社ごとの差になる。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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