刀 日本株スクリーナー
AIスクリーニング実例 · 2026年10月11日実行

隠れ防衛銘柄を、
日本株全体から探した。

防衛関連の会社とは見られていないが、国防向けの事業をきちんと持っている会社を探した。刀は有報に防衛の語を書く115社に絞り、AIが一社ずつ読んで、63社を支持した。

背景

防衛予算の要求は、過去最大の8.9兆円になった。

防衛省は2026年8月31日、来年度予算の概算要求として、過去最大の8兆8,908億円を決めた。AIによる意思決定の支援や、民生品を使って安く大量につくれる攻撃用無人機の開発などを盛り込んだ。無人機MQ-9Bは17機・2,922億円を求めた。年末の安保3文書の改定に左右される事業は、金額を示さずに要求している。

受け取る側の受注も膨らんでいる。三菱重工業・川崎重工業・IHIの防衛事業の受注残は、2026年3月期末で計6兆2,500億円と、前の期から15%増えた。3社とも受注高は過去最高だった。

2026年4月には、完成品の輸出を救難・輸送・警戒・監視・掃海の「5類型」に限っていた決まりが改められ、すべての防衛装備の移転が原則として可能になった。

防衛関連銘柄と言えば、重工3社や火器・弾薬のメーカーが挙がる。では、防衛関連の会社とは見られていないが、国防向けの事業をきちんと持っている会社はあるのか。刀で、有報から探した。

01 / 入力

探したい企業像。

“Companies not seen as defense makers, that nonetheless run a real business supplying Japan's national defense.”

日本語訳:防衛関連の会社とは見られていないが、国防向けの事業をきちんと持っている会社。

有報に防衛の語を書く会社に単語条件で絞り、この企業像を問いにして英語で入れ、AIに有報を読ませた。

02 / 条件

この条件で、日本株全体を調べた。

A

定量条件

刀が独自指標で全社を計算する。

  1. 有報に「防衛省」「自衛隊」「防衛装備」「防衛関連」「防衛事業」「防衛・宇宙」「防衛予算」「防衛費」のいずれかを含む
B

定性条件

AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。

  1. 防衛省や自衛隊に、装備品・部品・システム・サービスを納める事業を持ち、その事業の売上や受注が有報に書かれているか。

問いは英語で入れた。防衛を市場の動きや今後の計画として書いているだけの場合や、「生活防衛」「買収防衛策」のような言い方は含めない。

約3,800社対象とする上場企業
115社定量条件に一致
63社AIが支持と判定
刀は

有報の文章を読み、63社を支持した。

03 / 結果

支持は63社。防衛関連と見られていない10社を、原文で確かめた。

115社の判定は、支持63社・要確認39社・反証あり13社だった。支持には三菱重工業・川崎重工業・IHIや、火器の豊和工業、防衛機器の石川製作所など、防衛関連銘柄の定番も並んだ。反証の多くは、電力会社や銀行など、防衛の語が別の意味で出てくる会社だった。以下は、支持のうち、防衛関連の会社とは見られていない10社。

  • 川崎地質4673 · サービス業

    「そして防衛施設関連事業では、第74期以降、大規模な海上土質調査業務に携わりました。」有報を見る ↗地質調査の会社。防衛省向けの売上は39.2億円で、売上の30.9%(前期は13.9%)。国土交通省を抜いて、最大の取引先になった。

  • いであ9768 · サービス業

    「防衛施設整備に伴う海域環境監視調査」有報を見る ↗環境調査と建設コンサルタントの会社。防衛省向けの売上は35.3億円で、売上の14.4%。国土交通省に次ぐ2番目の取引先。

  • 人・夢・技術グループ9248 · サービス業

    「その他、数年前から本格スタートした防衛関連事業においても、地質・土質調査、構造物設計、交通、環境分野から建築分野まで幅広く積極的な展開を図ってまいりました。」有報を見る ↗建設コンサルタント。防衛省向けの売上は51.2億円で、売上の11.1%。前期は10%未満で、主な取引先の表に載っていなかった。

  • 若築建設1888 · 建設業

    「当連結会計年度 国土交通省 21,453百万円 20.5% 防衛省 12,400百万円 11.8%」有報を見る ↗海上土木に強い建設会社。防衛省向けは124億円で、売上の11.8%(前期は91.9億円・10.6%)。

  • 五洋建設1893 · 建設業

    「シンガポール政府90,168百万円11.4% 防衛省84,667百万円10.7%」有報を見る ↗海洋土木の大手。防衛省向けは846.7億円で、売上の10.7%。前期は売上の10%以上を占める相手先に入っていなかった。

  • 内海造船7018 · 輸送用機器

    「当連結会計年度 防衛装備庁船舶事業10%~20%」有報を見る ↗船の建造と修理の会社。防衛装備庁が、売上の10〜20%を占める相手先に入っている。

残り4社を見る
  • 古野電気6814 · 電気機器

    「防衛装備品事業航空機用電子機器の供給から始まった当社の防衛装備品事業は、舶用事業と同様に、顧客からの強い信頼を得ており、昨今の防衛力増強等も含め、防衛省のニーズに対応しております。」有報を見る ↗航海機器や漁労機器など、船の電子機器が売上の86%。防衛装備品事業は、旺盛な受注を背景に生産体制を強め、売上を伸ばした。

  • 池上通信機6771 · 電気機器

    「特に、防衛市場を最注力領域として、防衛市場向けの研究開発・販売を強化し、売上規模の更なる拡大を目指す。」有報を見る ↗情報通信機器の会社。監視カメラなどのセキュリティー事業で、防衛省をはじめとする官公庁向けの大型案件の納入が売上に寄与した。

  • 日本航空電子工業6807 · 電気機器

    「これらに加え、注力領域向けの開発体制拡充、防衛分野の生産能力倍増により事業基盤強化を図るとともに、QCD(品質・コスト・納期)を重視した事業運営により、防衛事業で営業利益率10%以上の確保を目指し、安定した収益性と持続的成長を実現します。」有報を見る ↗コネクタの会社。航機事業で、飛行制御装置や慣性航法装置などの防衛・宇宙用の電子機器を作る。

  • 共和電業6853 · 電気機器

    「特注・システム品は、前期の自動車衝突試験関連の大口案件の反動減があったものの、ダム関連の更新需要や高速鉄道向け台車温度検知装置、防衛関連などの大口案件により、売上高は5,182百万円(前期比1.2%増)となりました。」有報を見る ↗計測機器の会社。特注・システム品の売上51.8億円を、防衛関連などの大口案件が支えた。

詳細な結果を見る

結果は2026年10月11日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。

04 / 考察

防衛のお金は、施設の調査と工事にも流れる。

支持の中から、防衛省が売上の1割以上を占めると有報に書いた会社を並べた。武器や装備品の会社ではない。地質や環境の調査、建設コンサルタント、海の工事の会社だ。

会社事業防衛省向けの売上売上に占める割合前期
川崎地質地質調査39.2億円30.9%13.9%
いであ環境調査35.3億円14.4%13.4%
若築建設海上土木124.0億円11.8%10.6%
人・夢・技術グループ建設コンサルタント51.2億円11.1%10%未満
五洋建設海洋土木846.7億円10.7%10%未満

基地や港をつくる前には、地盤を調べ、周りの海の環境を測り、設計する。その仕事は、調査会社や建設会社に発注される。5社とも、防衛省向けの割合が前の期より上がった。

流れる先は、まだ広がりそうだ。2026年10月11日、政府が防衛関連経費の「公共インフラ整備」の対象に、鉄道を加える検討に入ったと報じられた。有事に自衛隊への物資や装備品を運ぶ経路を確保する狙いだ。鉄道を強みとする鉄建建設は、有報に「防衛省施設の強靭化に向けた投資の拡大が予想される」と書き、防衛関連工事を将来への布石となる案件に挙げている。

逆に、防衛関連銘柄としてよく名前が挙がる日立製作所の有報には、主要な項目に「防衛」が一度も出てこない。市場での呼ばれ方と、有報に書かれた事業は、必ずしも一致しない。

割合は、各社の有報に、売上の10%以上を占める相手先として書かれた値。

あなたの投資先選びを、そのままAIに。

複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。

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