定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報の「事業の内容」に「宇宙」か「衛星」を含む
- または「経営環境」に「宇宙」か「衛星」を含む
- または「業績」の説明に「宇宙」か「衛星」を含む
- または「研究開発活動」に「宇宙」か「衛星」を含む
スペースXが、上場して初めて営業黒字になった。伸びたのはロケットの打ち上げより、衛星通信だった。では、日本の宇宙関連銘柄で注文が伸びているのはどこか。刀は有報に「宇宙」「衛星」と書く243社に絞り、AIが一社ずつ読んで、12社を支持した。
スペースXは10月20日、7〜9月期の決算を発表した。売上は146億ドルと前年の2.6倍、純利益は44億ドルで、前年の11億ドルの赤字から黒字に転じ、上場後初めて営業黒字になった。衛星インターネットのStarlinkを中心とする接続事業は52.5億ドルと69%増え、個人の加入者は1,360万人と前年の720万人からほぼ倍になった。一方、ロケットの打ち上げ事業は17.7億ドルで、伸びは6%ほどにとどまった。
翌21日の東京市場では、スペースXに出資するアステリアの株価が一時11%上がった。
衛星の量産は、日本の会社の受注にもう出ている。環境試験器のエスペックは、2027年3月期の第1四半期の受注が228億円と20.6%増え、四半期で初めて200億円を超えた。北米の衛星通信が好調で、民生用の低軌道衛星向けの試験需要は2027〜2028年まで続く見通しだという。
宇宙関連銘柄と聞くと、ロケットや衛星を飛ばす宇宙ベンチャーが思い浮かびやすい。ただ、スペースXで伸びたのは打ち上げより衛星通信だった。StarlinkやAmazonの衛星網Amazon Leoは、衛星を数千機の単位で打ち上げる。
数千機の衛星をつくるには、基板や電池、電源などの部品と、宇宙の過酷な環境に耐えるかを一機ずつ確かめる試験装置が要る。衛星の数が増えるほど、こうした会社に注文が来るはずだ。
そこで、有報に「宇宙」「衛星」と書いた会社のうち、宇宙向けの受注や売上が増えたと書いている会社を、衛星を飛ばす側か支える側かを問わずに、刀で探した。
“We want companies that currently earn revenue from space, such as rockets, satellites, their components, materials or test equipment, satellite ground or user equipment, or satellite communications or data services, and that report their space orders or sales increased in the latest year, a specific new space order, or an investment to expand space production.”
日本語訳:ロケット、衛星、その部品・材料・試験装置、衛星の地上設備や端末、衛星通信や衛星データのサービスなど、宇宙関連で売上を立てていて、直近の年度に宇宙向けの受注や売上が増えた、具体的な宇宙の案件を受注した、または宇宙向けの増産投資を決めたと有報に書いている会社を探したい。
有報の「事業の内容」「経営環境」「業績」「研究開発」のどれかに「宇宙」か「衛星」と書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、12社を支持した。
243社の判定は、支持12社・要確認76社・反証あり155社だった。先頭の6社は、「試験・部品」「ロケットと衛星の製造・材料」「衛星の運用」の3つの分野から2社ずつ選び、残りの12社も同じ分野の順に並べた。
「また、衛星通信分野では、北米にて低軌道衛星の試験需要が大幅に拡大し、受注高は5期連続で過去最高を更新いたしました。」有報を見る ↗
「情報通信向け基板は、衛星通信向けが大きく増加しました。」有報を見る ↗
「宇宙関連製品は、ロケット向け製品の出荷が増え、売上高は増加しました。」有報を見る ↗
「(エレクトロニクス事業)ゲーム機やモバイル端末向け商材が順調に推移したほか、人工衛星の売上が寄与したこと等により、単体では増収・増益となりました。」有報を見る ↗
「また、当社グループの地球観測衛星データ事業は、夜間や悪天候下でも観測可能な特長から安全保障分野における需要が急増しており、防衛省からの大型受注を獲得するなど、2026年5月期より本格的な収益化フェーズへと移行しております。」有報を見る ↗
「メディア事業における視聴料・業務手数料・基本料収入が23億円減少した一方で、宇宙事業における国内衛星通信分野の増収31億円、スペースインテリジェンス事業の増収26億円等により、営業収益は増加いたしました。」有報を見る ↗
「(その他)売上高は、宇宙用リチウムイオン電池の販売数量の増加等により、224億54百万円と前連結会計年度に比べて39百万円増加(0.2%)しました。」有報を見る ↗
「エネルギーソリューション事業は、国内の住宅用が堅調に推移し、蓄電所EPCやアジア、宇宙用が伸長したものの、国内の太陽光EPCが減収となりました。」有報を見る ↗
「売上高は、低調に推移した産業機器向け需要を、底堅く推移したモビリティ向けや民生機器向けが補完したほか、システム事業において人工衛星関連の需要が大きく伸長し全体を牽引したことから、前年同期に比べ2,587百万円増加の213,425百万円となりました。」有報を見る ↗
「(航空・宇宙、工業用品事業)航空・宇宙部門は、官需大型機用部品やエンジン用部品の販売が増加したほか、民需向けシール部品や宇宙関連の製品の販売が伸長しております。」有報を見る ↗
「こうした事業環境のもと、当連結会計年度において、インダストリアル事業では、産業ガス・LNG関連の継続した受注に加え、LNG事業の新たな展開として宇宙産業向けビジネスの大型案件を受注しました。」有報を見る ↗
「宇宙先端システムBFは、車両自動走行の研究開発案件が堅調であることに加え、宇宙天文分野の開発が増加し、売上高は3,158百万円(同3.1%増)となりました。」有報を見る ↗
「《量産ライセンス》 ・H.264 HPコーデック:ドアホン向け ・1/4固定長圧縮技術:人工衛星向け ・H.265エンコーダ:月面探査機向け 以上の結果、当事業年度の売上高は193百万円となりました。」有報を見る ↗
「その主な要因は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が推進する「小型SAR衛星コンステレーションの利用拡大に向けた実証」の令和6年度分の納入完了及び令和7年度分の一部を売上に計上したことに加えて、防衛省が推進する安全保障用途に適した小型合成開口レーダ(SAR)衛星の宇宙実証の納入完了により、売上高が増加したことによるものです。」有報を見る ↗
「(b) AxelGlobe事業当セグメントにおきましては、主に防衛省を中心とする新規顧客からの受注が貢献し、その結果、売上高は986,124千円(前年同期比278.6%増)、売上原価は328,141千円(前年同期比8.2%増)、売上総利益は657,982千円(前年同期は42,787千円の売上総損失)となりました。」有報を見る ↗
「当連結会計年度における売上収益は、既存案件の進捗や全額拠出案件比率の増加により増加し、5,940,615千円(前年同期比141.8%増)となりました。」有報を見る ↗
「2026年5月15日時点において、ミッション3以降を対象とした締結済みの契約・助成金(PL計上済みの金額を除く)と予算確保済みの案件で合わせて562億円見込んでおり、加えてMOU等で984億円を締結しております。」有報を見る ↗
「これらの結果、宇宙関連事業における当連結会計年度の売上高は、30,078千円(前年同期比529.5%増)となりました。」有報を見る ↗
なお、要確認のうち、メイコー・GSユアサ・シャープ・丸文・櫻護謨・アストロスケールの6社は、宇宙向けの売上や受注が増えたことを有報に書いており、加えた。衛星を飛ばす側か支える側かで分けず、同じ基準で見た。「航空・宇宙」「防衛・宇宙」のまとめでしか増加を書いていない三菱重工業・三菱電機などは加えていない。
詳細な結果を見る結果は2026年10月23日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
宇宙向けの受注や売上が増えたと有報に書いていたのは、支持の12社と要確認から加えた6社の、18社だった。このうち11社は、試験装置・部品・材料・ソフトや衛星の製造で、衛星やロケットをつくる側にいる会社だった。11社はすべて営業黒字だ。
| 役割 | 会社 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 試験・部品・電池 | エスペック、メイコー、GSユアサ、シャープ、丸文、櫻護謨 | 6社とも黒字 |
| 製造・材料 | 日油、日機装、セーレン | 3社とも黒字 |
| ソフト | セック、テクノマセマティカル | 2社とも黒字 |
| 衛星の運用・データ | QPS、Synspective、アクセルスペース、アストロスケール、ispace、INCLUSIVE、スカパーJSAT | スカパーJSAT以外は赤字 |
打ち上げ側の会社も、宇宙向けの売上はあると判定されていた。H3ロケットをつくる三菱重工業、ロケットを手がけるIHI、航空宇宙の事業をもつ川崎重工業、H3にシールを納めるイーグル工業だ。ただ、4社とも受注や売上の増加を「航空・宇宙・防衛」のようなまとめでしか有報に書いておらず、宇宙の分が伸びたかは読み取れない。そのため、「宇宙向けの受注や売上が増えたか」の問いで止まった。打ち上げ側で宇宙向けの伸びを書いていたのは、ロケット向け製品の出荷が増えた日油だった。
注文を出す相手も違う。衛星を飛ばす新興の売上は、国の契約が支えている。アストロスケールは売上の30.3%が防衛省、29.4%がJAXAだ。アクセルスペースの衛星画像の事業は防衛省などの新規顧客で売上が3.8倍になり、Synspectiveは内閣府と防衛省の実証の納入で売上を立てた。一方、エスペックの試験需要は、北米で低軌道衛星を運用する民間企業から来ている。
新興の赤字は、衛星を先に作って打ち上げる事業の形からくる。QPSは、運用する衛星が増えた年は減価償却費が先に増え、営業損失8億円を計上したと書く。そのうえで、2028年5月期中に24機、2030年中に36機以上へ増やす計画を掲げる。ispaceは、ミッション3以降で562億円の契約・助成金などを見込む。
衛星を量産する流れは、まだ続く。エスペックは、民生用の低軌道衛星向けの試験需要が2027〜2028年まで続くとみて、北米で生産能力を増やす計画を立てた。Amazon Leoは2029年7月までに3,232機をそろえるよう米連邦通信委員会(FCC)に求められているが、これまでに打ち上げたのは396機だ。
今回探したのは、衛星を飛ばす会社に限らず、宇宙向けの注文や売上が実際に増えた会社だ。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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