定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報の「事業の内容」に「データセンター」を含む
- または、有報の「経営環境」に「データセンター」を含む
AIデータセンターの借金に、市場が疑いの目を向け始めた。では、日本でデータセンターの工事や電源機器を実際に受注している会社はどこか。刀は有報にデータセンターと書く313社に絞り、AIが一社ずつ読んで、29社を支持した。
AI向けのクラウドを貸す米コアウィーブの社債が、2026年10月14日に急落した。2032年に償還を迎える表面利率9.625%の社債は額面1ドルあたり80セントを割り、利回りは一時15%台まで上がった。株価は15%下がって引けた。リース債務を含む負債は、6月末時点で520億ドル(約8.2兆円)に達している。半導体やデータセンターに投じる資金を高い金利で借りてきたAIインフラ企業に、返済できるのかという疑いが向いた。翌15日の東京市場でも、日経平均が大きく下げた。
それでも、データセンターの建設そのものは日本の会社の業績にもう出ている。ダイダンの有報によると、データセンターと工場の建設を中心に受注環境は良く、受注工事高は前期の2,525億円から3,199億円へ27%増えた。完成工事には、「NRT12」と大阪南港のデータセンターの空調衛生工事が並ぶ。日本電設工業は、データセンターをはじめとする民間の大型設備投資を受注し、受注高が3期連続で過去最高になった。
では、データセンター向けの工事や設備を実際に受注・納入している日本の会社はどこか。刀で、有報から探した。
“データセンター向けの建設工事・設備工事・設備機器を、すでに受注・納入している会社を探したい。たとえば、データセンター向けの建屋の建設、電気設備工事、空調設備工事、非常用発電機、UPS(無停電電源装置)、配電盤など。自社のサーバー置き場として使っているだけの会社や、データセンターを運営しているだけの会社は含めない。”
有報の「事業の内容」か「経営環境」に「データセンター」と書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。2問とも、「データセンター」を含む段落を先に読ませた。
有報の文章を読み、29社を支持した。
313社の判定は、支持29社・要確認70社・反証あり214社だった。以下は、空調設備工事、電気・通信工事、電源機器から2社ずつを先に挙げ、残りを同じ分野の順に並べた24社。
「当連結会計年度においては、データセンター・工場建設を中心とした堅調な建設需要を背景に良好な受注環境が継続し、受注時採算の改善が進みました。」有報を見る ↗
「LINEヤフー㈱LINEヤフー白河データセンター6号棟・7号棟 増築工事」有報を見る ↗
「「日本電設3ヶ年経営計画2024」の2年目である2026年3月期の連結受注高は、データセンターをはじめとした民間の大型設備投資や基幹設備老朽化による更新工事などを受注したことに加え、東日本旅客鉄道株式会社をはじめとする各鉄道会社の安全・安定輸送に対する設備投資が順調に推移し、3期連続で過去最高を更新した。」有報を見る ↗
「オフィスビル、マンション、データセンター、メガソーラー等の電気・空調工事・スマートエネルギー工事」有報を見る ↗
「再生可能エネルギー、蓄電システムやエネルギーマネジメントシステム及び需要が急伸長するデータセンター・半導体工場向け無停電電源装置、受変電機器、配電盤の受注拡大を図ります。」有報を見る ↗
「当年度は、車載電池は減収となりましたが、産業・民生向けではデータセンター向け蓄電システムの販売が大きく伸長し、全体で増収となりました。」有報を見る ↗
「環境システム事業:事務所、ホテル、店舗、学校、研究所、劇場、ホール、病院、データセンター等の一般空調設備」有報を見る ↗
「大都市圏での大型再開発事業、データセンター及び半導体や研究施設などの産業空調分野の民間投資が活発で、市場は堅調に推移したことから、前年を上回る繰越受注を確保しました。」有報を見る ↗
「空調設備分野では、設備工事案件が予定どおり進捗し、データセンター向け特殊空調及び既納品の保守メンテナンス案件も順調に推移したことにより、売上高は堅調に推移しました。」有報を見る ↗
「売上高においては、通信事業者からの通信品質改善工事(モバイル)、ITソリューション事業の大型システム基盤更改案件及び社会システム関連事業の大型データセンター工事・無電柱化工事に加え、再生可能エネルギー関連工事の堅調な進捗等により、増収となりました。」有報を見る ↗
「なかでも、屋内外電気設備部門において官公庁や金融機関、商業施設等の電気設備改修工事、送電線設備部門において地域間連系線工事や増強工事に加え、次世代の社会基盤を構築する系統用蓄電池やデータセンター等のエネルギー基盤工事など、複数の大型プロジェクト工事を受注しており、受注高の大幅な増加に寄与いたしました。」有報を見る ↗
「設備事業では、再生可能エネルギー発電所やデータセンターにおける特別高圧変電所の大型受注と順調な工事進捗により、受注高は56億6千5百万円、売上高が22億7千2百万円となりました。」有報を見る ↗
「商業施設・事業施設では、特に半導体関連工場やデータセンターを成長分野と位置づけ、施工技術・ノウハウの蓄積と提案力の強化を進めています。」有報を見る ↗
「建築物部門では、データセンターや商業施設、高層マンションなどの新設案件を着実に獲得しましたが、一部案件における建設費の高騰や資材価格の変動を背景とした設計変更や着工判断の遅れの影響を受ける結果となりました。」有報を見る ↗
「このような状況の中、同事業は、受注高は海外の交通事業の大口案件の減少などにより前連結会計年度を下回りましたが、売上高は国内の交通事業や海外向けUPS事業の増加などにより、前連結会計年度を上回りました。」有報を見る ↗
「生成AI関連需要が一段と拡大し、米国のデータセンター用PDU(電源分配ユニット)・UPS(無停電電源装置)向けを中心とした大型トランス・リアクタの好調な需要が、業績をけん引しました。」有報を見る ↗
「その結果、当連結会計年度の業績は、環境エネルギー部門において、公共分野での大口案件の獲得や、データセンター、蓄電所向けの受注が伸び、受注高は39,183百万円(前期比 30.8%増)となりました。」有報を見る ↗
「電気・情報インフラ関連 流通事業につきましては、加速するデータセンター建設等企業におけるIT投資意欲の高まりに伴い関連部材の売上が増加した結果、売上高は59,956百万円と同7.0%の増収、セグメント利益(営業利益)は2,628百万円と同25.8%の増益となりました。」有報を見る ↗
「産業インフラ分野では、国内で活況を呈しているデータセンターの新築案件に対応するため、松栄電機グループの人員増強を図り生産能力を増強するとともに、新たにISO9001の認証を取得、これらの体制強化の下、大型案件の受注を獲得することが出来ました。」有報を見る ↗
「施設事業では、データセンター向け需要の拡大を背景に、特高受配電設備及び非常用発電設備が売上に大きく寄与しました。」有報を見る ↗
「③物流・冷熱・ドライブシステムデータセンター向けを中心にエンジンが堅調に推移したものの、中国の不動産市況低迷や欧州ヒートポンプ市場の停滞を背景に冷熱製品が減少したことなどにより、受注高は、前連結会計年度を263億11百万円(△4.0%)下回る6,381億48百万円となった。」有報を見る ↗
「防災ユニットは、電力関連施設やデータセンター向けのガス消火設備工事が好調に推移しました。」有報を見る ↗
「まず、精密小型モータは、水冷モジュールやニアライン用途のHDD用モータをはじめとするAI社会を支えるデータセンター向け各製品群において、市場の爆発的成長を支えるべく求められる進化に対応した製品の開発及び販売拡大に取り組んでいます。」有報を見る ↗
「一連の活動の成果もあり、2025年4月にはデータセンター向けの水冷/液冷式熱マネジメント部品「ボールバルブ継手」「シャットオフコネクタ」の新規開発・試験評価が完了し、受注販売の開始に漕ぎ着けることができた結果、2025年9月には国内の複数の顧客から水冷モジュールやボールバルブ継手を複数量受注するに至りました。」有報を見る ↗
なお、支持のうち、関西電力は自らデータセンターを開設・運営する側のため外した。ミライト・ワン、クラフティア、新晃工業、荏原製作所、三社電機製作所は、有報にデータセンター向けの体制づくりや注力の方針は書かれているが、受注や売上の実績は読み取れないため外した。要確認のうち、三機工業は、データセンターなどの産業空調で前年を上回る繰越受注を確保したと書いているため加えた。冷却部品のニデックと三櫻工業は、実例「液冷データセンター関連銘柄」でも取り上げた。
詳細な結果を見る結果は2026年10月17日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
データセンター関連として名前がよく挙がる会社について、有報にデータセンターをどう書いているかを並べた。
| 会社 | 立場 | 有報での書き方 |
|---|---|---|
| 鹿島建設 | ゼネコン | 語なし |
| 大成建設 | ゼネコン | 語なし |
| 大林組 | ゼネコン | 買収・提携先の事業 |
| 清水建設 | ゼネコン | 有望市場の一つ |
| ダイダン | 空調・電気工事 | 受注27%増、データセンターの工事を完成 |
| 新日本空調 | 空調工事 | データセンターの工事を完成 |
| 日本電設工業 | 電気工事 | データセンターなどで受注が過去最高 |
上場する大手ゼネコン4社で、データセンターの受注や施工の実績を有報に書いた会社はなかった。鹿島建設と大成建設は、刀が読む有報の主要7項目に「データセンター」という語が一度も出てこない。大林組は、買収した米国の建設会社や提携先の豪州の建設会社の説明で触れるだけで、清水建設は有望な市場の一つとして名前を挙げるだけだ。
一方、空調や電気の設備工事会社は、データセンターの工事を実績として書いている。ダイダンの受注工事高は27%増え、完成工事にNRT12と大阪南港のデータセンターが並ぶ。新日本空調の完成工事にも、LINEヤフーの白河データセンターが入っている。サーバーを冷やす空調と、止まらない電源が建物の中心になるデータセンターでは、ゼネコンが元請けでも、その設備を担うのは設備工事会社だ。新日本空調の完成工事高の11.8%は、清水建設からの仕事である。
これらの数字は、2026年3月期までの有報のものだ。建設はその後も続いている。CBREによると、東京圏のデータセンターの容量は2026年第1四半期時点で1,086MWあり、さらに2,544MWが計画されている。今ある容量の2.3倍だ。日経クロステックが2026年4〜5月に事業者に聞いた調査でも、2030年までに24社が38件の新設・増設を予定し、うち5件は受電容量が100MWを超える。この計画が進めば、設備工事会社の受注は、まだ伸びる余地がある。
ただし、CBREは、電力が足りずに延期された計画もあると伝えている。コアウィーブの件のように、データセンターの持ち主の資金繰りが詰まれば、投資は鈍る。そのときに効くのは、すでに抱えている工事の厚さだ。ダイダンが次の期に繰り越した工事は3,270億円で、この期に完成させた2,294億円の1.4倍ある。受注が減っても、売上はすぐには落ちない。ただし、それが補えるのは、繰り越した工事を終えるまでだ。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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