刀 日本株スクリーナー
AIスクリーニング実例 · 2026年10月13日実行

送配電・変圧器関連銘柄を、
日本株全体から探した。

変圧器が世界で足りず、日本の会社の業績にも出始めている。送配電の設備や工事を売上の柱にしている会社を探した。刀は有報に送配電・変圧器まわりの語を書く138社に絞り、AIが一社ずつ読んで、25社を支持した。

背景

変圧器が、世界で足りない。それが業績にも表れている。

マッキンゼーは2026年9月のレポートで、世界の変圧器の需要は2035年までに約40%増えると見積もった。電化、再生可能エネルギー、データセンターで、送配電網への投資が増えるためだ。供給は追いつかず、作りきれていない受注(バックログ)は2024年の1,000GVA超から、2030年には約1,690GVAに膨らむという。日立製作所は2026年9月15日、米ミシシッピ州に5億2,800万ドルを投じて、既存工場の2倍以上の規模の変圧器工場を建てると発表した。

この需要は、日本の会社の業績にもう出ている。明電舎の有報によると、電力インフラ事業の売上と営業利益は過去最高で、米国やシンガポールの需要の伸びで変電事業が増収増益になった。日立も、送配電を担うパワーグリッド事業の大型案件と、受注残の売上への転換で、エナジー区分の売上を伸ばした。国内でも納期が延びている。日立産機システムの配電用変圧器を扱う販売会社は2026年9月8日、26回目となる標準納期の見直しを取引先に知らせ、小型の油入変圧器の一部は4か月から6か月に延びた。

では、送配電の設備や工事を売上の柱にしている日本の会社はどこか。刀で、有報から探した。

01 / 入力

探したい企業像。

“We want companies whose main business is selling equipment, materials, or construction and maintenance services for power transmission and distribution grids, such as power transformers, substation equipment, switchgear, circuit breakers, power cables, insulators, and transmission and distribution line construction. We do not want utilities that only operate the grid.”

日本語訳:送配電網向けの設備・部材・工事を売上の柱にしている会社を探したい。たとえば変圧器、変電設備、開閉装置、遮断器、電力ケーブル、碍子、送電線や配電線の工事など。送配電網を運営しているだけの電力会社は含めない。

有報に送配電・変圧器まわりの語を書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。

02 / 条件

この条件で、日本株全体を調べた。

A

定量条件

刀が独自指標で全社を計算する。

  1. 有報に「変圧器」「送配電」「送電」「変電」「開閉装置」「スイッチギヤ」「遮断器」「電力ケーブル」「碍子」「がいし」「受変電」のいずれかを含む
B

定性条件

AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。

  1. 送配電網向けの設備・部材・工事や保守(変圧器、変電設備、開閉装置、遮断器、電力ケーブル、碍子、送電線や配電線の工事など)を売っているか。電力会社として送配電網を運営しているだけ、または電気を買っているだけの場合は含めない。
  2. その送配電関連の事業は、売上の柱(報告セグメントになっている、または売上の大きな割合を占める)か。小さな製品群にとどまらないか。

問いは英語で入れ、上から順に判定した。

約3,800社対象とする上場企業
138社定量条件に一致
25社AIが支持と判定
刀は

有報の文章を読み、25社を支持した。

03 / 結果

支持は25社。6社を外し、要確認の3社を加えた22社を、原文で確かめた。

138社の判定は、支持25社・要確認31社・反証あり82社だった。以下は、電力機器、電線と部材、電気工事から2社ずつを先に挙げ、残りを同じ分野の順に並べた22社。

  • 明電舎6508 · 電気機器

    「① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比16.7%増の100,844百万円、営業利益は前期比4,596百万円改善の12,584百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。」有報を見る ↗変圧器やスイッチギヤを電力会社などに売る。電力インフラ区分は売上の30.7%。変圧器工場の新建屋の増築を決め、2028年度に動かす。

  • 東光高岳6617 · 電気機器

    「電力機器事業は、特別高圧受変電設備プラント物件が増加したことにより、セグメント全体の売上高は63,864百万円(前年同期比6.7%増)と増加し、セグメント利益につきましても9,595百万円(前年同期比54.5%増)と増益になりました。」有報を見る ↗受変電・配電用機器の会社。電力機器区分が売上の57.0%。東京電力パワーグリッドが主要な販売先で、関係会社でもある。

  • SWCC5805 · 非鉄金属

    「電力インフラ事業は、国土強靭化対策による底堅い需要に加えて、再生可能エネルギーへのシフト、データセンターの市場拡大や送配電網増強に伴う旺盛な需要に対し、主力製品である高電圧電力ケーブル用コネクタ「SICONEX®(サイコネックス)」の増産投資により受注を拡大しており、2026年度下期からはさらに第二期増産投資効果が寄与する見込みです。」有報を見る ↗電線の会社。高電圧の電力ケーブルをつなぐコネクタ「SICONEX」が主力で、増産を続けている。

  • 那須電機鉄工5922 · 金属製品

    「(電力・通信インフラ事業)主な事業内容は、送電設備材料・配電設備材料・通信設備材料等の製作・販売および通信鉄塔設備工事であります。」有報を見る ↗送電・配電設備の材料と鉄塔の会社。電力・通信インフラ区分が売上の82.5%。大型の幹線鉄塔の受注で、仕事量を確保した。

  • 四電工1939 · 建設業

    「(1) 会社経営の基本方針当社グループは、経営理念として「進化する総合設備企業として 人と社会と未来をつなぎます」を掲げ、建築設備工事と送配電設備工事を事業の柱として、社会インフラ形成の一端を担い、経済・社会の発展に貢献することで、企業価値を高め、持続的な成長を目指していくことを基本としている。」有報を見る ↗四国電力グループの電気工事会社。送配電設備工事を事業の柱と明記し、四国電力送配電向けが売上の42.2%を占める。

  • 日本リーテック1938 · 建設業

    「(送電線設備部門)受注工事高は、各電力会社からの送電線鉄塔建替工事や電線張替工事、地域間連系線工事のほか、系統用蓄電池やデータセンター等のエネルギー基盤工事等、複数の大型プロジェクト工事を受注した結果、204億7千5百万円(前連結会計年度は68億9千1百万円)となりました。」有報を見る ↗鉄道の電気工事が主力。送電線設備の受注は、鉄塔の建替えや地域間連系線の工事で約3倍の205億円に増えた。

残り16社を見る
  • 日立製作所6501 · 電気機器

    「売上収益は、パワーグリッド事業における大型プロジェクト等の好調な推移、受注残の着実な売上転換及び為替影響等により、増収となりました。」有報を見る ↗送配電の世界大手、日立エナジーを傘下に持つ。日立エナジーを含むエナジー区分は、外部顧客への売上の30.3%を占める。

  • ダイヘン6622 · 電気機器

    「a エネルギーマネジメント国内の工場受変電設備の更新投資が堅調に推移したことに加え、再生可能エネルギーの導入進展に伴う電力需給調整市場の拡大を背景に蓄電池システムの需要が増加したことにより、売上高は1,282億2千万円(前連結会計年度比6.1%増)、営業利益は141億6千5百万円(前連結会計年度比23.4%増)となりました。」有報を見る ↗変圧器と溶接機の会社。変圧器や蓄電池システムを含むエネルギーマネジメント区分が、売上の53.9%を占める。

  • 愛知電機6623 · 電気機器

    「電力機器事業各種変圧器、制御機器等の製造・販売及び電力設備工事等を行っております。」有報を見る ↗変圧器の会社。電力機器区分は売上の29.4%で、中部電力パワーグリッドが主要な販売先だ。空調用モーターとプリント基板も作る。

  • 富士電機6504 · 電気機器

    「・エネルギーマネジメント分野は、蓄電システム案件の増加や、電力及び産業向け変電機器、産業向け電源機器の大口案件の増加等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。」有報を見る ↗判定は要確認。変電機器を含むエナジー区分が売上の31.4%。国内外の電力インフラ向けに、300MVA級の大容量変圧器を開発した。

  • 正興電機製作所6653 · 電気機器

    「「電力部門」発電所及び変電所向け集中監視制御システム・電気設備、配電線自動制御システム・配電機器、電力業務ITシステム、スマート保安システム等の開発・製造・販売と本製品に関する工事及びエンジニアリング等に関する事業を下記の関係会社で行っております。」有報を見る ↗変電所の監視制御システムや配電機器の会社。電力部門は売上の26.3%。九州電力送配電とデジタル変電所を開発し、2027年に納める計画だ。

  • 日東工業6651 · 電気機器

    「配電盤部門につきましては、企業における底堅い設備投資需要や規格変更前の駆け込み需要により高圧受電設備の売上が増加した結果、売上高は72,981百万円と同6.3%の増収となりました。」有報を見る ↗配電盤とキュービクルの会社。電力会社の送配電網ではなく、工場やビルが電気を受ける側の設備を売る。

  • 住友電気工業5802 · 非鉄金属

    「当社グループを取り巻く事業環境につきましては、情報通信分野でデータセンター関連市場向け製品の需要が大きく増加したほか、自動車分野ではワイヤーハーネスの需要が、環境エネルギー分野では電力ケーブルや受変電設備などの需要が堅調に推移しました。」有報を見る ↗判定は要確認。電力ケーブルと、子会社の日新電機の受変電設備を含む環境エネルギー区分が、売上の22.4%。超高圧の直流ケーブルも開発している。

  • 古河電気工業5801 · 非鉄金属

    「エネルギーインフラ事業では、電力事業において、国内の超高圧地中線や再生可能エネルギー向け海底線及び地中線の堅調な需要を背景に、電力ケーブルの製造能力及び工事施工能力の増強に取り組んでまいりました。」有報を見る ↗電力ケーブルを作り、工事も請け負う。HVDC(高電圧直流送電)ケーブルの国内生産拠点を、千葉県富津市に新設すると決めた。

  • 大谷工業5939 · 金属製品

    「当社グループが営んでいる主な事業は架線金物、鉄塔・鉄構の製造・販売及び、建築用スタッド、免震ベースプレートの製造・販売・施工であります。」有報を見る ↗架線金物と鉄塔の会社。電力通信部門が売上の64.4%。北陸電力送配電への販売が、売上の10.58%を占める。

  • 関電工1942 · 建設業

    「また、電力設備投資については、送配電設備のレジリエンス維持・向上に資する高経年化対策工事を中心として計画的に実施された。」有報を見る ↗東京電力グループの電気工事会社。配電線工事の受注は1,346億円で、受注全体の18%にあたる。

  • きんでん1944 · 建設業

    「当社は、電気工事(配電工事、ビル・工場等の一般電気工事、送電線工事、発変電所工事等)、情報通信工事(電気通信工事、計装工事等)、環境関連工事(空調管工事等)、内装設備工事及び土木工事並びにその他これらに関連する事業を営んでいる。」有報を見る ↗判定は要確認。関西電力グループの電気工事会社。配電工事は808億円で4.8%増えた。売上の大半は、ビルや工場の一般電気工事だ。

  • クラフティア1959 · 建設業

    「〔設備工事業〕○当社及び子会社㈱明光社が、その他の関係会社である九州電力㈱及び同子会社である九州電力送配電㈱、㈱九電送配サービスより配電線工事を受注施工している。」有報を見る ↗九州電力グループの電気工事会社。九州電力送配電から配電線工事を受け、物価上昇を反映した配電委託工事の増加で売上が増えた。

  • トーエネック1946 · 建設業

    「中部電力㈱並びにその子会社である中部電力パワーグリッド㈱及び中部電力ミライズ㈱より配電設備の新増設工事や、その他修繕工事等を受注・施工しており、当社の売上高の3分の1程度を占めている。」有報を見る ↗中部電力グループの電気工事会社。配電設備の工事など中部電力グループ向けが、売上の3分の1程度を占める。

  • ユアテック1934 · 建設業

    「電力インフラ設備工事では、送配電設備の計画的な更新工事や基幹送電網の増強・整備工事の確実な受注に加えて、施工体制の早期構築や設計協力・提案営業により競争力を高め、受注拡大に取り組んできた。」有報を見る ↗東北電力グループの電気工事会社。配電線工事の受注は640億円。基幹送電網の増強工事も受ける。

  • 北海電工1832 · 建設業

    「(設備工事業)当社は電気工事、電気通信工事、土木工事、建築工事、鋼構造物工事、とび・土工工事、管工事、塗装工事及び消防施設工事を請負施工しており、親会社からは、主に配電線・発送変電・地中線等の電気工事を受注しております。」有報を見る ↗北海道電力グループの電気工事会社。親会社の北海道電力ネットワークから、配電線や送変電の工事を受ける。

  • ETSグループ253A · 建設業

    「電力事業では、東北地方及び関東地方における基幹送電線の大型工事の受注と、それらの工事の順調な進捗に加えて、中国地方の子会社における完工も進み、受注高は92億6千9百万円、売上高が72億7千6百万円となりました。」有報を見る ↗送電線工事の会社。電気工事区分が売上の84.8%。データセンター向けの特別高圧変電所の工事も受注している。

なお、支持のうち、北陸電力と九州電力は送配電網を運営する電力会社、テスホールディングスは工場向けのエネルギー設備と発電の会社、日本電設工業は売上の48.1%が東日本旅客鉄道向けの鉄道電気工事の会社のため外した。コンドーテックは受変電設備を扱う電設資材の区分が売上の15.4%、巴コーポレーションは送電鉄塔の工事が鉄構建設の一部で、送配電が柱とは読めないため外した。要確認のうち、住友電工・富士電機・きんでんは、有報に電力ケーブルや変電機器、配電工事の売上が書かれているため加えた。

詳細な結果を見る

結果は2026年10月13日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。

04 / 考察

変圧器が本業の中小型は、追い風を受けているのに、まだ高く買われていない。

送配電関連として名前がよく挙がる会社を、送配電に関わる事業区分の売上比率と、PER(決算期末の株価をもとにした値)で並べた。比べる目安として、刀のデータで電気機器の会社のPERの中央値は14.7倍、上場企業全体では13.6倍だ。

会社送配電に関わる区分PER
那須電機鉄工電力・通信インフラ 83%8.5倍
東光高岳電力機器 57%11.5倍
ダイヘンエネルギーマネジメント 54%18.9倍
明電舎電力インフラ 31%14.4倍
日立製作所エナジー 30%25.3倍
愛知電機電力機器 29%7.8倍
住友電工環境エネルギー 22%17.7倍
フジクラ電力 13%43.1倍
日本ガイシエネルギー・産業 10%19.3倍

送配電が本業の会社ほど、PERは低い。電力機器が売上の57%を占める東光高岳は11.5倍、29%の愛知電機は7.8倍、送電・配電の材料と鉄塔が83%の那須電機鉄工は8.5倍で、いずれも電気機器の中央値を下回る。愛知電機と那須電機鉄工は、PBRも1倍を割っている。変圧器の不足という追い風を事業の中心で受けながら、高くは買われていない。

反対に、一番PERが高いフジクラは、電線御三家の一社として送配電関連に数えられることが多いが、電力の区分は売上の13%で、55%は光ファイバーなどの情報通信だ。刀の判定でも、送配電が売上の柱ではないとして反証ありになった。フジクラの株価は、送配電よりも光通信で説明する方が自然だ(光通信の会社は、実例「光通信・光電融合関連銘柄」で探した)。

ただし、変圧器の大手でも、明電舎(14.4倍)は業種並み、ダイヘン(18.9倍)は業種より高く買われている。まだ高く買われていないのは、送配電の比率が高い中小型の会社だ。PERは決算期末の株価をもとにしているので、その後の株価の動きは含まない。

あなたの投資先選びを、そのままAIに。

複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。

スクリーナーを開く

ほかの実例

任天堂のような会社を、日本株全体から 半導体事業を、隠し持つ会社 核融合関連銘柄を、日本株全体から探した キーエンスのような会社を、日本株全体から ローツェと同じ型の会社を、日本株全体から探した