定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報に「変圧器」「送配電」「送電」「変電」「開閉装置」「スイッチギヤ」「遮断器」「電力ケーブル」「碍子」「がいし」「受変電」のいずれかを含む
変圧器が世界で足りず、日本の会社の業績にも出始めている。送配電の設備や工事を売上の柱にしている会社を探した。刀は有報に送配電・変圧器まわりの語を書く138社に絞り、AIが一社ずつ読んで、25社を支持した。
マッキンゼーは2026年9月のレポートで、世界の変圧器の需要は2035年までに約40%増えると見積もった。電化、再生可能エネルギー、データセンターで、送配電網への投資が増えるためだ。供給は追いつかず、作りきれていない受注(バックログ)は2024年の1,000GVA超から、2030年には約1,690GVAに膨らむという。日立製作所は2026年9月15日、米ミシシッピ州に5億2,800万ドルを投じて、既存工場の2倍以上の規模の変圧器工場を建てると発表した。
この需要は、日本の会社の業績にもう出ている。明電舎の有報によると、電力インフラ事業の売上と営業利益は過去最高で、米国やシンガポールの需要の伸びで変電事業が増収増益になった。日立も、送配電を担うパワーグリッド事業の大型案件と、受注残の売上への転換で、エナジー区分の売上を伸ばした。国内でも納期が延びている。日立産機システムの配電用変圧器を扱う販売会社は2026年9月8日、26回目となる標準納期の見直しを取引先に知らせ、小型の油入変圧器の一部は4か月から6か月に延びた。
では、送配電の設備や工事を売上の柱にしている日本の会社はどこか。刀で、有報から探した。
“We want companies whose main business is selling equipment, materials, or construction and maintenance services for power transmission and distribution grids, such as power transformers, substation equipment, switchgear, circuit breakers, power cables, insulators, and transmission and distribution line construction. We do not want utilities that only operate the grid.”
日本語訳:送配電網向けの設備・部材・工事を売上の柱にしている会社を探したい。たとえば変圧器、変電設備、開閉装置、遮断器、電力ケーブル、碍子、送電線や配電線の工事など。送配電網を運営しているだけの電力会社は含めない。
有報に送配電・変圧器まわりの語を書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、25社を支持した。
138社の判定は、支持25社・要確認31社・反証あり82社だった。以下は、電力機器、電線と部材、電気工事から2社ずつを先に挙げ、残りを同じ分野の順に並べた22社。
「① 電力インフラ事業セグメント売上高は前期比16.7%増の100,844百万円、営業利益は前期比4,596百万円改善の12,584百万円となり、売上高及び営業利益はいずれも過去最高となりました。」有報を見る ↗
「電力機器事業は、特別高圧受変電設備プラント物件が増加したことにより、セグメント全体の売上高は63,864百万円(前年同期比6.7%増)と増加し、セグメント利益につきましても9,595百万円(前年同期比54.5%増)と増益になりました。」有報を見る ↗
「電力インフラ事業は、国土強靭化対策による底堅い需要に加えて、再生可能エネルギーへのシフト、データセンターの市場拡大や送配電網増強に伴う旺盛な需要に対し、主力製品である高電圧電力ケーブル用コネクタ「SICONEX®(サイコネックス)」の増産投資により受注を拡大しており、2026年度下期からはさらに第二期増産投資効果が寄与する見込みです。」有報を見る ↗
「(電力・通信インフラ事業)主な事業内容は、送電設備材料・配電設備材料・通信設備材料等の製作・販売および通信鉄塔設備工事であります。」有報を見る ↗
「(1) 会社経営の基本方針当社グループは、経営理念として「進化する総合設備企業として 人と社会と未来をつなぎます」を掲げ、建築設備工事と送配電設備工事を事業の柱として、社会インフラ形成の一端を担い、経済・社会の発展に貢献することで、企業価値を高め、持続的な成長を目指していくことを基本としている。」有報を見る ↗
「(送電線設備部門)受注工事高は、各電力会社からの送電線鉄塔建替工事や電線張替工事、地域間連系線工事のほか、系統用蓄電池やデータセンター等のエネルギー基盤工事等、複数の大型プロジェクト工事を受注した結果、204億7千5百万円(前連結会計年度は68億9千1百万円)となりました。」有報を見る ↗
「売上収益は、パワーグリッド事業における大型プロジェクト等の好調な推移、受注残の着実な売上転換及び為替影響等により、増収となりました。」有報を見る ↗
「a エネルギーマネジメント国内の工場受変電設備の更新投資が堅調に推移したことに加え、再生可能エネルギーの導入進展に伴う電力需給調整市場の拡大を背景に蓄電池システムの需要が増加したことにより、売上高は1,282億2千万円(前連結会計年度比6.1%増)、営業利益は141億6千5百万円(前連結会計年度比23.4%増)となりました。」有報を見る ↗
「電力機器事業各種変圧器、制御機器等の製造・販売及び電力設備工事等を行っております。」有報を見る ↗
「・エネルギーマネジメント分野は、蓄電システム案件の増加や、電力及び産業向け変電機器、産業向け電源機器の大口案件の増加等により、売上高、営業損益ともに前期を上回りました。」有報を見る ↗
「「電力部門」発電所及び変電所向け集中監視制御システム・電気設備、配電線自動制御システム・配電機器、電力業務ITシステム、スマート保安システム等の開発・製造・販売と本製品に関する工事及びエンジニアリング等に関する事業を下記の関係会社で行っております。」有報を見る ↗
「配電盤部門につきましては、企業における底堅い設備投資需要や規格変更前の駆け込み需要により高圧受電設備の売上が増加した結果、売上高は72,981百万円と同6.3%の増収となりました。」有報を見る ↗
「当社グループを取り巻く事業環境につきましては、情報通信分野でデータセンター関連市場向け製品の需要が大きく増加したほか、自動車分野ではワイヤーハーネスの需要が、環境エネルギー分野では電力ケーブルや受変電設備などの需要が堅調に推移しました。」有報を見る ↗
「エネルギーインフラ事業では、電力事業において、国内の超高圧地中線や再生可能エネルギー向け海底線及び地中線の堅調な需要を背景に、電力ケーブルの製造能力及び工事施工能力の増強に取り組んでまいりました。」有報を見る ↗
「当社グループが営んでいる主な事業は架線金物、鉄塔・鉄構の製造・販売及び、建築用スタッド、免震ベースプレートの製造・販売・施工であります。」有報を見る ↗
「また、電力設備投資については、送配電設備のレジリエンス維持・向上に資する高経年化対策工事を中心として計画的に実施された。」有報を見る ↗
「当社は、電気工事(配電工事、ビル・工場等の一般電気工事、送電線工事、発変電所工事等)、情報通信工事(電気通信工事、計装工事等)、環境関連工事(空調管工事等)、内装設備工事及び土木工事並びにその他これらに関連する事業を営んでいる。」有報を見る ↗
「〔設備工事業〕○当社及び子会社㈱明光社が、その他の関係会社である九州電力㈱及び同子会社である九州電力送配電㈱、㈱九電送配サービスより配電線工事を受注施工している。」有報を見る ↗
「中部電力㈱並びにその子会社である中部電力パワーグリッド㈱及び中部電力ミライズ㈱より配電設備の新増設工事や、その他修繕工事等を受注・施工しており、当社の売上高の3分の1程度を占めている。」有報を見る ↗
「電力インフラ設備工事では、送配電設備の計画的な更新工事や基幹送電網の増強・整備工事の確実な受注に加えて、施工体制の早期構築や設計協力・提案営業により競争力を高め、受注拡大に取り組んできた。」有報を見る ↗
「(設備工事業)当社は電気工事、電気通信工事、土木工事、建築工事、鋼構造物工事、とび・土工工事、管工事、塗装工事及び消防施設工事を請負施工しており、親会社からは、主に配電線・発送変電・地中線等の電気工事を受注しております。」有報を見る ↗
「電力事業では、東北地方及び関東地方における基幹送電線の大型工事の受注と、それらの工事の順調な進捗に加えて、中国地方の子会社における完工も進み、受注高は92億6千9百万円、売上高が72億7千6百万円となりました。」有報を見る ↗
なお、支持のうち、北陸電力と九州電力は送配電網を運営する電力会社、テスホールディングスは工場向けのエネルギー設備と発電の会社、日本電設工業は売上の48.1%が東日本旅客鉄道向けの鉄道電気工事の会社のため外した。コンドーテックは受変電設備を扱う電設資材の区分が売上の15.4%、巴コーポレーションは送電鉄塔の工事が鉄構建設の一部で、送配電が柱とは読めないため外した。要確認のうち、住友電工・富士電機・きんでんは、有報に電力ケーブルや変電機器、配電工事の売上が書かれているため加えた。
詳細な結果を見る結果は2026年10月13日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
送配電関連として名前がよく挙がる会社を、送配電に関わる事業区分の売上比率と、PER(決算期末の株価をもとにした値)で並べた。比べる目安として、刀のデータで電気機器の会社のPERの中央値は14.7倍、上場企業全体では13.6倍だ。
| 会社 | 送配電に関わる区分 | PER |
|---|---|---|
| 那須電機鉄工 | 電力・通信インフラ 83% | 8.5倍 |
| 東光高岳 | 電力機器 57% | 11.5倍 |
| ダイヘン | エネルギーマネジメント 54% | 18.9倍 |
| 明電舎 | 電力インフラ 31% | 14.4倍 |
| 日立製作所 | エナジー 30% | 25.3倍 |
| 愛知電機 | 電力機器 29% | 7.8倍 |
| 住友電工 | 環境エネルギー 22% | 17.7倍 |
| フジクラ | 電力 13% | 43.1倍 |
| 日本ガイシ | エネルギー・産業 10% | 19.3倍 |
送配電が本業の会社ほど、PERは低い。電力機器が売上の57%を占める東光高岳は11.5倍、29%の愛知電機は7.8倍、送電・配電の材料と鉄塔が83%の那須電機鉄工は8.5倍で、いずれも電気機器の中央値を下回る。愛知電機と那須電機鉄工は、PBRも1倍を割っている。変圧器の不足という追い風を事業の中心で受けながら、高くは買われていない。
反対に、一番PERが高いフジクラは、電線御三家の一社として送配電関連に数えられることが多いが、電力の区分は売上の13%で、55%は光ファイバーなどの情報通信だ。刀の判定でも、送配電が売上の柱ではないとして反証ありになった。フジクラの株価は、送配電よりも光通信で説明する方が自然だ(光通信の会社は、実例「光通信・光電融合関連銘柄」で探した)。
ただし、変圧器の大手でも、明電舎(14.4倍)は業種並み、ダイヘン(18.9倍)は業種より高く買われている。まだ高く買われていないのは、送配電の比率が高い中小型の会社だ。PERは決算期末の株価をもとにしているので、その後の株価の動きは含まない。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
スクリーナーを開くほかの実例
任天堂のような会社を、日本株全体から 半導体事業を、隠し持つ会社 核融合関連銘柄を、日本株全体から探した キーエンスのような会社を、日本株全体から ローツェと同じ型の会社を、日本株全体から探した