定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報に「原子力」を含む
- または「原子炉」を含む
政府が原発の建て替えに向けて動き出した。ただ、新しい原発が売上になるのはまだ先だ。原子力向けの製品や工事で、今稼いでいる会社を探した。刀は有報に原子力と書く108社に絞り、AIが一社ずつ読んで、13社を支持した。
原子力産業新聞によると、政府は原発の建て替えに必要な人材の規模を、今年度中に公表する。7月31日の原子力関係閣僚会議では、2040年代までに大型炉2〜5基分、2050年代までに11〜14基分の建て替えを見込む行動指針を決めた。10月7日には、人材の確保と育成を産学官で進める日本原子力人財コンソーシアムが発足している。海外では、三菱重工業が10月15日、フランス電力(EDF)の原発に取替用の蒸気発生器3基を納めた。EDFからは計9基を受注しており、残る6基は2028年以降に納める。
原子力の仕事は、日本の会社の業績にもう出ている。東京エネシスは、原発の再稼働に向けた安全対策工事などで受注を伸ばし、次期繰越工事高は過去最高の1,449億円になった。太平電業も、原子力発電設備工事が増えて、建設工事部門の受注が65.7%増えた。
原子力関連銘柄と聞くと、新しい原発の建設を思い浮かべやすい。ただ、国が見込む建て替えは2040年代までに2〜5基分で、まだ計画の段階だ。
一方、今の国内の原発でお金が動いているのは、止まった原発を動かすための安全対策工事と、動いている原発の定期検査や部品の交換のはずだ。三菱重工業がEDFに納めた蒸気発生器も、古い炉を長く使うための取替用の部品だった。
そこで、原子力向けの製品・工事・サービスが事業の柱になっている会社を刀で有報から探し、何で稼いでいるかを確かめた。
“We want companies that currently sell products, construction work, or services for nuclear power plants or nuclear fuel facilities, such as reactor components, valves, safety upgrades for plant restarts, inspection and maintenance, or decommissioning, where this business is at least 10% of sales, a separate reportable segment, or described as a core business.”
日本語訳:原発や核燃料施設向けに、製品・工事・サービスを今売っている会社を探したい。たとえば原子炉の部品や弁、再稼働に向けた安全対策工事、定期検査と保守、廃炉など。そのうえで、その事業が売上の10%以上か、独立した事業区分か、有報で中核の事業と書かれている会社に絞る。
有報に「原子力」か「原子炉」と書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。
有報の文章を読み、13社を支持した。
108社の判定は、支持13社・要確認15社・反証あり80社だった。以下は、再稼働と保守、廃炉、研究機関向けの順に並べた7社。
「売上高は、福島第一原子力発電所の廃止措置関連業務、国内各所で展開している原子力発電所等の安全対策工事や保修工事、電力需要増加に伴う変電設備の新設・増設工事、蓄電池関連プラントの建設工事、火力発電所の保修工事や撤去工事、製油所への常駐化により増加した保修工事、太陽光分野のオンサイトPPA設備工事や建設工事等の進捗があったことから、830億83百万円(前期比22.7%増)となりました。」有報を見る ↗
「売上高は、原子力発電設備工事が増加したことにより、部門全体として増加し、44,531百万円(前年同期比13.7%増、構成比31.4%)となり、セグメント利益は2,966百万円(前年同期比94.7%増)となりました。」有報を見る ↗
「b.経営成績当連結会計年度における業績は、バルブ製造部門では、東海第二発電所や柏崎刈羽原子力発電所向けの特定重大事故等対処施設用弁や上越火力発電所1号、2号系列向け弁のほか、ベトナムやシンガポール向けの鋳鋼弁・鋳鋼部品など国内外の販売に注力した結果、売上高は概ね期初計画どおりに推移いたしました。」有報を見る ↗
「当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造・メンテナンスを主としたバルブ事業を中核に鋳鋼製品の製造事業や、原子力発電所(以下、「原発」)における設備の保守や電気設備工事などを展開しております。」有報を見る ↗
「エネルギー・環境事業につきましては、原子力発電所関連では、許認可を要する周辺装置の製作・保守・保全業務の受注、福島第一原子力発電所関連では、廃炉・廃止措置対応としての燃料デブリ処理のための分析セル施設関連、処理水関連機器、放射性廃棄物容器、構内運搬容器等及び原子炉周りの除染・解体工事、遠隔保守対応の設計・製作業務に関する受注、核燃料サイクル関連では、青森県六ヶ所村の再処理工場、MOX燃料加工工場の竣工に向けた耐震基準及び火災・爆発対応の見直し設計・改造等の新規制基準対応業務及び関連する遮蔽及び廃棄物処理設備の受注に注力いたします。」有報を見る ↗
「・東京電力グループ 当社は、東京電力ホールディングス株式会社の福島第一廃炉カンパニー等をエンドユーザーとした受託開発プロジェクトを過年度より継続して実施しております。」有報を見る ↗
「(1)原子力産業分野への依存 当社は、福島第一原子力発電所の事故以降、原子力発電の縮小・凍結等が長期化しているなか、他の産業分野での受注、売上の拡大に力を注いでまいりましたが、現状でも原子力産業分野の売上高が、全売上高の約45%を占めております。」有報を見る ↗
なお、支持のうち、東京電力ホールディングスは自社の原発を運転する電力会社のため外した。三菱重工業・IHI・カナデビアは、原子力が大きな事業区分の一部で、原子力の売上が全体の10%以上とは読めないため外した。西華産業と東京産業は、原発向けの機器や工事を扱う商社だが、原子力の売上の割合が読めないため外した。
詳細な結果を見る結果は2026年10月20日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
原子力の売上を有報で確かめられた7社は、どれも再稼働・保守・廃炉で稼いでいた。国内の新しい原発で売上を立てた会社はなかった。予想していなかったのは廃炉で、東京エネシス・岡野バルブ製造・木村化工機・Liberawareの4社が、福島第一の廃炉を売上や受注の中身に挙げていた。三菱重工業も、原子力の受注が増えた理由は、六ヶ所村の再処理工場など原子燃料サイクル関連の工事だった。
国内の新設は、まだ調査と設計の段階だ。TVEの有報には「2025年7月に関西電力が美浜原発において1号機の後継機設置検討のための現地調査を再開することを公表いたしました」という記載がある。2026年7月には、原発の建て替えに公的融資を出せるようにする改正電気事業法が成立した。8月には三菱重工業が、革新軽水炉「SRZ-1200」や国産技術による小型軽水炉の開発など3件で、経済産業省の支援事業に採択された。
一方、海外では新設が動き始めている。日立製作所がGE Vernovaと開発する小型モジュール炉(SMR、工場で作った部品を組み立てる小さな原子炉)「BWRX-300」は、カナダで初号機を建設中で、2026年9月には米テネシー川流域開発公社(TVA)の計画にも建設許可が出た。3月の日米の投資合意では、テネシー州とアラバマ州にBWRX-300を最大400億ドルで建てる案件が示された。部材でも、日本製鋼所は欧米の大型原発の建設計画を見込んで、原発関連製品の生産能力を2029年3月期までに2倍にする。IHIは3月、144基の受注残を持つ米X-energyと、高温ガス炉の圧力容器などで協業を検討する覚書を結んだ。新設の受注額を有報に書いたのは東洋炭素だけで、X-energy向けの黒鉛製品を24億円受注している。主な会社は次のとおりだ。
| 会社 | 担うもの | 2026年の動き |
|---|---|---|
| 日立製作所 | SMR「BWRX-300」 | 米TVAで建設許可(9月) |
| 三菱重工業 | 革新軽水炉・国産SMR | 国の支援に採択(8月) |
| 日本製鋼所 | 原子炉の鍛造品 | 生産能力を2倍へ(7月) |
| IHI | 圧力容器など | X-energyと覚書(3月) |
| 東洋炭素 | 高温ガス炉の黒鉛 | 24億円を受注 |
| 日揮HD | SMRの建設 | ルーマニアで準備 |
| TVE | 新型炉用バルブ | 開発中 |
新しい原発の関連銘柄として名前が挙がる会社でも、今の売上は再稼働と保守、または海外の案件だ。国が見込む国内の建て替えは2040年代までに2〜5基分で、新設の需要は海外から先に来ている。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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