刀 日本株スクリーナー
AIスクリーニング実例 · 2026年10月23日実行

ペロブスカイト太陽電池の量産で伸びる銘柄を、
日本株全体から探した。

パナソニックが、ペロブスカイト太陽電池の本格量産を1年前倒しした。では、量産に向けてもう動き出しているペロブスカイト太陽電池関連銘柄はどこか。刀は有報に「ペロブスカイト」と書く45社に絞り、AIが一社ずつ読んで、2社を支持した。

背景

日本のペロブスカイトが、量産に向かう。

パナソニックホールディングスは10月20日、ガラス型のペロブスカイト太陽電池の本格量産を、当初の2030年度から1年前倒しし、2029年4月に滋賀県長浜市の拠点で始めると発表した。9月には、大阪府守口市の開発拠点で作った先行量産品の販売を始めている。窓や壁に組み込む建材としての利用を想定する。

ペロブスカイト太陽電池は、薄く、軽く、曲げられる次世代の太陽電池だ。ビルの壁や耐荷重の小さい屋根など、今の太陽光パネルを置けない場所にも付けられる。主な原料のヨウ素は、産出がチリと日本に偏っている。国は、2040年に約2,000万kW(20GW)の導入を目指す。

量産の準備は、ほかでも進む。積水化学は3月にフィルム型の事業化を始め、大阪府堺市で100MW規模の工場を建てている。京都大学発のエネコートテクノロジーズも10月、京都府宇治市の工場を完成させた。日本の会社の業績にも出始めていて、製造装置のエヌ・ピー・シーは、国内の太陽電池メーカー複数社にペロブスカイト用の開発装置を納め、売上に計上したと有報に書いている。

一方、中国では、GCLが2025年末に1GW級の量産工場を動かしたと報じられた。10月19日には、その量産品の日本向けの出荷が始まったと、販売するコシダテックが発表した。

仮説

量産が始まる前に、先に売上が立つのは製造装置では?

新しい製品が量産に向かうとき、注文は順番に出る。まず、工場を建てる段階で、製造装置に注文が出る。材料に量が出るのは、工場が動き出してからだ。

ペロブスカイトは今、ちょうど工場を建てている段階にある。積水化学の堺工場は2028年3月に完成する予定で、パナソニックの長浜拠点は2029年4月に、エネコートの宇治工場は2028年に本格的に動き出す。

そこで、有報に「ペロブスカイト」と書いた会社を刀で全部読み、電池・装置・材料のどこで、売上や受注、工場といった具体的な一歩まで進んでいるかを確かめた。

01 / 入力

探したい企業像。

“We want companies that already make and sell perovskite solar cells, or supply equipment or materials made specifically for them, and that report a concrete step toward commercial production, such as sales, orders, a product launch, or a production line that is built, under construction, or decided with a stated investment.”

日本語訳:ペロブスカイト太陽電池そのもの、またはその専用の製造装置・材料・部材を、もう顧客に出していて、売上・受注・製品の発売・生産ライン(完成済み・建設中・投資額つきで決定)といった、量産に向けた具体的な一歩を有報に書いている会社を探したい。

有報に「ペロブスカイト」と書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。

02 / 条件

この条件で、日本株全体を調べた。

A

定量条件

刀が独自指標で全社を計算する。

  1. 有報に「ペロブスカイト」を含む
B

定性条件

AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。

  1. ペロブスカイト太陽電池を作って売っているか、ペロブスカイト太陽電池専用の製造装置・材料・部材(塗工や検査の装置、正孔輸送材料、封止材、バリアフィルムなど)を顧客に供給しているか。サンプル出荷や顧客の評価も含む。基礎研究だけ、実証への参加や他社の電池を自社の施設に付けただけ、市場の流れや将来の可能性として触れただけ、ヨウ素のようにペロブスカイト専用ではない一般の製品を売っているだけの場合は含めない。
  2. ペロブスカイト太陽電池、またはその専用の製品で、量産に向けた具体的な一歩を書いているか。例は、売上の計上、受注、製品の発売、完成済み・建設中・投資額つきで決まった生産ライン。研究の計画、実証、受注のない顧客の評価、市場が伸びるという説明だけの場合は含めない。

問いは英語で入れ、上から順に判定した。

約3,800社対象とする上場企業
45社定量条件に一致
2社AIが支持と判定
刀は

有報の文章を読み、2社を支持した。

03 / 結果

支持は2社。量産の手前にいる5社も、原文で確かめた。

45社の判定は、支持2社・要確認12社・反証あり31社だった。以下は、電池を作る会社、装置の会社、材料の会社の順に並べた7社。

  • 積水化学工業4204 · 化学

    「また、フィルム型ペロブスカイト太陽電池事業においては、1メートル幅での製造技術や金属屋根を対象とした設置仕様を確立したことから、事業化(製品提供)を開始した。」有報を見る ↗住宅と樹脂の会社。子会社の積水ソーラーフィルムが、大阪府堺市にフィルム型の工場を建てている。投資予定額は900億円で、2028年3月に完成する予定。自治体や事業者向けに、金属屋根に付ける製品の提供を始めた。

  • 倉元製作所5216 · ガラス・土石製品

    「当社は、新規事業であるペロブスカイト太陽電池事業について、当初想定した生産設備等について、すでに国内及び海外のメーカー等に発注し、現在、当社花泉工場に搬入設置が進んでおります。」有報を見る ↗判定は反証あり(まだ製品を売っていない)。ガラス基板の加工と業務用ロボットの会社。1MWの量産ラインの取得資金8億6,300万円は、試作用の設備と位置づけて研究開発費に計上した。2026年8月には、ペロブスカイトの子会社が中国の聚石化学グループから段階的に出資を受け、量産化の設備投資に充てると報じられた。2028年末には聚石化学が51.9%を持つ予定。

  • エヌ・ピー・シー6255 · 機械

    「また、既存顧客である国内太陽電池メーカー複数社に対して、ペロブスカイト用開発装置やシリコン結晶系太陽電池用の新規装置も売上計上しました。」有報を見る ↗太陽電池の製造装置の会社。売上の大半は米国の太陽電池メーカー向け。2026年8月期の売上高は大型案件の期ずれで58億円と37.3%減ったが、今期は99億円を見込む。ペロブスカイトでは、前工程のインクジェット塗布装置で3.5億円規模を受注した。

  • ニレコ6863 · 電気機器

    「その主な製品として、耳端位置制御装置は、帯状の細長い素材の縁の位置を検知して一定の位置に揃えるもので、二次電池やその他電子部品などの素材となる高機能フィルムの製造ラインで使用されており、近年では実用化に向けた開発が進むペロブスカイト太陽電池用製造装置においても利用が始まっています。」有報を見る ↗判定は要確認。制御・検査機器の会社。フィルムの端の位置をそろえる装置が、ペロブスカイトの製造装置に使われ始めた。フィルムの汚れや傷を見る検査装置も、ペロブスカイト向けに売り込む。受注残高は66億円と28.5%増えた。

  • 日本精化4362 · 化学

    「ファインケミカル分野では、次世代太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)向け正孔輸送材料の研究開発・量産化技術などに注力しております。」有報を見る ↗判定は要確認。化粧品原料などの化学会社。ペロブスカイトの正孔輸送材料(発電の層で生まれた電気を運ぶ材料)を戦略品目に掲げ、量産化の技術を固める段階にある。

  • MORESCO5018 · 石油・石炭製品

    「有機ELデバイス封止材を主軸に、フレキシブルデバイスやペロブスカイト型太陽電池向けの部材開発において顧客評価が進んでおります。」有報を見る ↗判定は要確認。特殊潤滑油の会社。有機EL向けの封止材(水や空気から素子を守る材料)を、ペロブスカイト向けに高性能化し、顧客の評価が進んでいる。

  • コニカミノルタ4902 · 電気機器

    「次世代太陽電池の有力候補であるフィルム型ペロブスカイト太陽電池向けのバリアフィルム開発の取組としては、有機EL製品向けに開発したバリアフィルム技術により高い耐水性を実現しており、京都大学発のスタートアップである株式会社エネコートテクノロジーズと実証実験を進めております。」有報を見る ↗判定は要確認。複合機の会社。フィルム事業の技術で作ったバリアフィルムの実証を、エネコートテクノロジーズと進める。インクジェットヘッドも、電池の層をつくる用途に広げる。

なお、要確認から加えたニレコ・日本精化・MORESCO・コニカミノルタは、製品が使われ始めたか、顧客の評価や量産技術を固める段階にある。倉元製作所は判定が反証ありだったが、量産ラインの設備を入れているため加えた。パナソニックホールディングスは、有報ではリスクの欄に新しい市場として触れるだけだった。

詳細な結果を見る

本レポートは、2026年10月23日時点の有価証券報告書を用いた結果です。

04 / 考察

受注が見えたのは装置。材料はまだ評価の段階だ。

有報に「ペロブスカイト」と書いた45社のうち、ペロブスカイトの製品をもう顧客に出し、売上や工場まで書いていたのは、電池の積水化学と、装置のエヌ・ピー・シーの2社だった。材料の会社は、顧客の評価か、量産技術を固める段階にとどまる。残る多くは、研究や自社の施設での実証、市場の説明で触れただけだった。

段階会社有報に書いたこと
電池積水化学事業化を開始、堺工場を建設中
電池倉元製作所試作ラインを研究開発費に
装置エヌ・ピー・シー国内複数社に売上計上
装置ニレコ製造装置で利用が始まった
材料日本精化・MORESCO・コニカミノルタ量産技術、顧客評価、実証

装置の受注は、数字でも見え始めた。エヌ・ピー・シーは10月の決算で、前工程のインクジェット塗布装置(電池の層をインクのように塗る装置)で3.5億円規模を受注したと説明し、ペロブスカイトの今後5年間の売上を国内160億円、海外110億円と見込んだ。5年分の合計270億円は、前期の売上高58億円の4倍を超える。

工場は、これからさらに建つ必要がある。積水化学の堺工場は100MW規模で、国が2040年の目標に掲げる20GWの200分の1にあたる。中国のGCLは、報道によると、すでにその10倍の1GW級の工場を動かしている。国内で工場が建つたびに、装置の注文が出る。

電池を作る側の動きはさまざまだ。倉元製作所は1MWの量産ラインを入れたが、試作用と位置づけて研究開発費として費用にした。その後、ペロブスカイトの子会社が中国の聚石化学グループから出資を受け、量産化の設備投資に充てると報じられた。2028年末には聚石化学が過半を持つ予定だ。

材料の会社はまだ顧客の評価を待ち、電池の会社は工場を建てている途中だ。装置は、国内で工場が1つ建つたびに注文が出る。量産の前のいま、ペロブスカイトの需要が先に数字になっているのは、工場に入れる装置の側だ。

あなたの投資先選びを、そのままAIに。

刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。複雑な仮説・企業像に対し、あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。

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