刀 日本株スクリーナー
AIスクリーニング実例 · 2026年10月19日実行

造船関連銘柄を、
日本株全体から探した。

政府が造船の建造量を倍にすると決め、設備投資の支援が動き出した。船を造る会社と、船のエンジンや機器を作る会社のうち、受注が増えている会社を探した。刀は有報の事業の内容に造船・舶用と書く62社に絞り、AIが一社ずつ読んで、9社を支持した。

背景

国が、造船の建造量を倍にすると決めた。

政府は、2035年の国内の建造量を2024年の倍の1,800万総トンに引き上げる目標を掲げている。日本の造船は1990年代初めに世界市場の約5割を占めたが、2024年の受注量のシェアは1割を切った。造船業再生基金では、今治造船、名村造船所、川崎重工業、三菱造船など8グループの設備投資の支援が決まり、官民の投資は9,000億円規模になる。三菱重工業は2026年10月2日、下関造船所の建造能力の拡大に約1,000億円を投じ、国土交通省から約400億円の助成を受けると発表した。

受注の増加は、日本の会社の有報にもう出ている。内海造船は新造船9隻などで前年度より67.4%多い803億円を受注し、受注残は新造船25隻分の1,343億円に積み上がった。船のエンジンを作る阪神内燃機工業も、主機関の受注が増えて受注高が34.2%増えた。

では、船を造る会社や、船のエンジンや機器を作る会社のうち、受注が増えているのはどこか。刀で、有報から探した。

01 / 入力

探したい企業像。

“We want companies that build ships, or manufacture marine equipment such as ship engines, propellers, navigation systems or deck machinery, as a separate segment or at least 20% of revenue, and whose orders or order backlog for ships or marine equipment increased in the latest fiscal year.”

日本語訳:船を造っている、または船のエンジン・プロペラ・航海計器・甲板機械などの舶用機器を製造していて、それが独立した事業区分か売上の20%以上を占める会社を探したい。そのうえで、船や舶用機器の受注か受注残が、直近の年度に増えた会社に絞る。

有報の「事業の内容」に「造船」「船用」「舶用」のいずれかを書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。

02 / 条件

この条件で、日本株全体を調べた。

A

定量条件

刀が独自指標で全社を計算する。

  1. 有報の「事業の内容」に「造船」を含む
  2. または「船用」を含む
  3. または「舶用」を含む
B

定性条件

AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。

  1. 船を造っているか、または船のエンジン・プロペラ・航海計器・甲板機械などの舶用機器を製造しているか。そして、その事業は独立した報告セグメントか、売上の20%以上か。
  2. 船や舶用機器の受注高か受注残高が、直近の年度に増えたと有報に書いているか。

問いは英語で入れ、上から順に判定した。

約3,800社対象とする上場企業
62社定量条件に一致
9社AIが支持と判定
刀は

有報の文章を読み、9社を支持した。

03 / 結果

支持は9社。2社を外し、要確認の1社を加えた8社を、原文で確かめた。

62社の判定は、支持9社・要確認5社・反証あり48社だった。以下は、造船所、船のエンジン、舶用機器の順に並べた8社。

  • 名村造船所7014 · 輸送用機器

    「当連結会計年度におきましては、大型撒積運搬船4隻、ハンディ型撒積運搬船等17隻を完工し、大型撒積運搬船10隻、ハンディ型撒積運搬船5隻を受注した結果、当連結会計年度末の受注残高は422,073百万円(前年同期比7.1%増)となりました。」有報を見る ↗ばら積み船が主力の造船所。新造船事業が売上の79.0%。受注残は、新造船事業の年間売上の約3.4年分にあたる。

  • 内海造船7018 · 輸送用機器

    「受注については、豊富な建造実績のあるロールオン/ロールオフ型貨物船(RORO船)及び輸送艦の受注に努めた結果、新造船9隻(RORO船、輸送艦)、修繕船他で803億45百万円(前年度比67.4%増)を受注し、受注残高は、新造船25隻他で1,343億45百万円(前年度比33.7%増)となった。」有報を見る ↗フェリーやRORO船(車両ごと積み降ろしする貨物船)の造船所。船舶事業の単一セグメント。政府の補助金を使った設備投資で、建造能力を広げる。

  • ジャパンエンジンコーポレーション6016 · 輸送用機器

    「舶用内燃機関では、最新鋭省エネ主機関であるLSHシリーズを中心に、豊富な受注残高を確保しており、同型主機関を連続生産することで、操業を高位に保ちつつ、効率的な生産を継続しております。」有報を見る ↗船を動かす主機関(メインエンジン)を作る。舶用内燃機関の受注残は267億円で、24.0%増えた。アンモニア燃料エンジンの初号機を2025年10月に納めた。

  • ダイハツインフィニアース6023 · 輸送用機器

    「機関受注につきましては、コンテナ船向けを中心とする大型機関やデュアルフューエル機関の需要を着実に取り込むことで、受注残高は前年同期を大きく上回る水準で推移しました。」有報を見る ↗船のエンジンの会社。舶用機関関連が売上の81.6%。舶用機関関連の受注残は1,023億円で、53.6%増えた。

  • 阪神内燃機工業6018 · 輸送用機器

    「②経営成績の状況当期の経営成績につきましては、受注高は主機関の受注が増加し、前期比34.2%増の19,021百万円となりました。」有報を見る ↗判定は要確認。国内の貨物船(内航船)向けが主力の、船のエンジンの会社。主機関の受注残は120億円で、71.2%増えた。

  • 赤阪鐵工所6022 · 機械

    「(1) 経営成績当事業年度における業績は、陸上部門の売上が計画を下回ったものの、舶用内燃機関及び部分品・修理工事の売上は増加した結果、売上高8,333百万円(前期比6.2%増)となりました。」有報を見る ↗船のエンジンの会社。舶用内燃機関の受注高は43.2%減ったが、受注残は61億円で48.9%増えた。ジャパンエンジンから、UE機関の製造・販売権を受けた。

  • 東京計器7721 · 精密機器

    「<売上高の状況>新造船向け機器の需要が順調に推移したことに加え、前期に引き続き保守サービスの需要が高水準で推移したことから、前期比で増収となりました。」有報を見る ↗舶用機器を作る計器の会社。船舶港湾機器事業は売上の22.4%で、受注は10.6%、受注残は28.1%増えた。売上の最大は防衛・通信機器だ。

  • ニッチツ7021 · 機械

    「(ホ)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析、検討内容機械関連事業 舶用機器部門については、ばら積み船用ハッチカバーが大幅に売上を伸長させるとともに、船殻ブロックもスポット工事の積極的な取り込みにより引き続き順調に推移しました。」有報を見る ↗船のハッチカバーや船殻ブロック(船体を分けて作る部品)を作る。舶用機器を含む機械関連事業が売上の69.2%。舶用機器部門の工場設備を増強する。

なお、支持のうち、テクノアルファは舶用機器を国内外のメーカーから仕入れて造船所に売る会社で、自ら製造していないため外した。川崎重工業は、船を含むエネルギーソリューション&マリン区分が売上の18.8%で、20%に届かないため外した。要確認のうち、阪神内燃機工業は船のエンジンの単一事業で、主機関の受注が52.3%増えたため加えた。古野電気は舶用事業が売上の86.2%を占めるが、受注の増減を書いていないため要確認のままにした。

詳細な結果を見る

結果は2026年10月19日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。

04 / 考察

替えどきは必ず来る。ただ、儲かるかは別だ。

造船の需要には、船の寿命が生むサイクルがある。刀で62社の有報を読むと、9社が船の代替・更新・老朽化を受注の背景に挙げていた。たとえば名村造船所の有報には「2010年前後の大量竣工船の省燃費船やクリーンエネルギー船、ゼロエミッション船への代替により今後も需要が増加するものと予測されております」という記載がある。国土交通省の資料でも、世界の新造船の竣工量は、リーマン・ショック前に受注した船がほぼ竣工した2011年がピークだった。同省の別の資料には「海上輸送量の増加や過去の大量に建造された船舶の代替需要等によって、各機関は、建造需要が増加していき、2030年代に1億総トン規模まで増加すると予測している」という記載がある。足元でも、タンカーは船隊の約21%が船齢20年を超え、2026年の発注量は7月末までで過去の年間最高(2006年)を上回った。

ただ、仕事が埋まっていることと、儲かることは別だ。支持した会社などの受注残が年間売上の何年分にあたるかと、営業利益率の4年前と直近を並べた(受注残 ÷ 直近の年度のその事業の売上。利益率は刀の年次データ)。

会社受注残営業利益率(4年前→直近)
名村造船所3.4年分−11.4% → 17.7%
内海造船2.9年分1.4% → 6.5%
赤阪鐵工所2.4年分0.5% → −2.3%
ジャパンエンジン1.9年分4.4% → 18.4%
ダイハツインフィニアース1.4年分3.6% → 8.7%
阪神内燃機工業1.4年分5.4% → 5.9%
三井E&S1.0年分−1.7% → 10.7%

名村造船所は、2017年3月期から2022年3月期まで6期連続で営業赤字だった。造船は受注から引き渡しまで2〜3年かかり、価格は受注した時点で決まる。名村造船所の有報には「厳しい受注環境下において仕事量確保のためやむを得ず受注する場合や将来を見据えて戦略的に受注する場合などは赤字受注となることもあり」という記載がある。いまの17%台の利益率は、船価が高い時期に受けた船を造っているからで、受注残の量が利益を約束するわけではない。赤阪鐵工所は受注残が48.9%増えたのに、営業利益率はマイナスだ。

また、受注高が減っても、仕事が減ったとは限らない。三井E&Sの舶用推進システム(船のエンジンなど)は、受注高が38.5%減ったため、刀の判定では反証ありになった。しかし減った理由は、前期に大型エンジンを複数まとめて受注した反動で、同じ事業の売上はむしろ10.5%増えている。造船関連を見るときは、1年の受注高ではなく、受注残が何年分あるかと、その仕事をいくらで受けたか(利益率の推移)を見るほうがよい。

あなたの投資先選びを、そのままAIに。

複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。

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