定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 業種:製造業(東証の業種区分のうち16業種)
- 営業利益率 20%以上(キーエンスは51.0%)
- 自己資本比率 60%以上(同94.6%)
- 売上高の6年成長率(CAGR)5%以上(同13.3%)
基準会社にキーエンスを選んだ。高収益で財務が厚く、売上が伸びているメーカーを、日本株3,826社から48社に絞った。AIが有報を一社ずつ読み、自社の営業が顧客へ直接売る8社を見つけた。
キーエンスは、工場の自動化に使うセンサーや測定器を作る。2026年3月期は売上高1兆1,692億円、営業利益5,957億円で、営業利益率は51%に達する。SBI証券は2026年1月のレポートで、ロボットや機械が現実を認識する「センサー」の銘柄として、フィジカルAIの関連にキーエンスを挙げた。
需要の追い風もある。帝国データバンクによると、2025年度の人手不足による倒産は441件で、3年連続で過去最多を更新した。人が足りない現場ほど、機械に任せる仕事が増える。
ただ、強さは需要だけではない。以前、キーエンスの社員の方々と話す機会があり、この会社の「強さ」を感じた。優秀な人たちが、徹底して合理的な仕組みのもとで、ハードに働いていた。その仕組みの一つが、自社の営業が顧客へ直接売る直販だ。
では、高収益で、自社の営業が直接売るメーカーは、キーエンスのほかにもあるのか。日本株全体から探した。
基準会社:キーエンス(6861)
“キーエンスのように高収益で財務が厚く、売上が伸び続けているメーカー。製品を自社の営業が顧客へ直接売る会社。”
この実例では検証用AIで条件を作り、製造業の業種条件を足して、刀の財務計算と有報判定で実行した。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
代理店・商社経由の販売が主体の場合、自社の通販サイトだけの場合、今後の計画だけの場合は含めない。
有報の文章を読み、8社を見つけた。
48社の判定は、支持8社・要確認26社・反証あり14社だった。以下は、支持のうち、販売の仕方を有報の原文で確かめられた7社。キーエンスも支持された。
「当社グループは80以上の国と地域に拠点を持ち、直販の営業人員を配置することで、お客様のニーズを的確にとらえ、ニーズに合った製品をグローバルに供給できる体制を構築しています。」有報を見る ↗
「当社では、原則販売代理店を通さない直販体制を構築しており、既存顧客については営業・技術担当者が直接顧客の設備投資動向を把握することを可能にしております。」有報を見る ↗
「当社グループは開発・製造・販売・アフターサービスの一貫体制で、直接販売を通じて、顧客ニーズの情報収集を迅速かつ的確に行い」有報を見る ↗
「お客さまに密着した営業活動を行うため、海外営業・販売子会社を米国、オランダ、中国、台湾、韓国およびシンガポールに置き」有報を見る ↗
「主に連結子会社のNISSEI ASB GmbH他1社を通じて販売しております。」有報を見る ↗
「道内5つのGP工場で製造された鶏卵製品はほぼ100%問屋を通さず取引先に直接販売をしており」有報を見る ↗
「当社の強みであるグローバル直販体制を活かし、開発・営業部門が連携した商品の企画開発力をさらに強化してまいります。」有報を見る ↗
結果は2026年10月10日の時点のものです。定性判定には当時の有報を用いていますが、定量スクリーニングには最新の財務データを用いています。
支持された会社は、どれも自社で顧客に売る。ただ、誰に何を売っているかは違う。工場の自動化に使う機器を売るのは、キーエンスとSMCだけだった。SMCも、SBI証券のフィジカルAIの表に「空気圧機器」の銘柄として挙がっている。
| 会社 | 主に売っているもの | 営業利益率 | 売上高 6年CAGR |
|---|---|---|---|
| キーエンス | 工場の自動化に使うセンサー・測定器 | 51.0% | +13.3% |
| SMC | 工場の自動化に使う空気圧機器 | 22.6% | +8.2% |
| サムコ | 半導体・電子部品の製造装置 | 25.1% | +11.2% |
| デクセリアルズ | スマートフォンや車載ディスプレイ向けの電子材料 | 33.5% | +12.0% |
| 日精エー・エス・ビー機械 | ペットボトルなどの成形機 | 24.4% | +8.9% |
| マースグループホールディングス | アミューズメント施設向けのシステム | 27.2% | +6.2% |
| ホクリヨウ | 鶏卵 | 21.5% | +9.5% |
利益率や成長率だけでは、この違いは見分けられない。直販と高収益は、キーエンスに似た会社を探す入口になる。ただ、それだけでは卵の会社も残る。キーエンスらしさまで絞るなら、売り方に加えて、自動化のように伸びる需要の側にいるかを問う必要がある。
表を見ると、キーエンスは改めて優良企業だと分かる。営業利益率51.0%は7社の中でも際立つ。ただ、今回の絞り込みには、割安さを示す条件を入れていない。実際、キーエンスの実績PERは32.2倍、PBRは4.13倍で、どちらも日本株全体の中央値(13.8倍、1.17倍)を大きく上回る。
優良企業に投資すれば、必ず儲かるわけではない。良い会社であることと、良い投資になることは別の話だ。そこが、投資の難しいところだと思う。
表の数字は直近の有報までの実績で、今後の売上や利益を示すものではない。実績PER・PBRは決算期末の株価をもとにした値で、中央値は値が正の会社で計算した。
複雑な仮説も、独自の銘柄選定も。刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
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