刀 日本株スクリーナー
MCPユースケース · 2026年11月3日実行

系統用蓄電池で稼ぐ銘柄を、
日本株全体から探した。

刀は、蓄電池や蓄電所について書いた110社の有報をAIに読ませ、系統用蓄電池で実際に売上や受注があり、それが売上の大きな割合を占める会社を探した。

背景

蓄電所の接続の申込は1億kWを超えた。送電網につながったのは、まだ約64万kW。

系統用蓄電池は、送電網に直接つなぐ大きな蓄電池だ。太陽光で電気が余る昼にためて、足りなくなる夕方に送り出す。再生可能エネルギーが増えるほど、こうした調整役が要る。

2026年9月30日にはオリックスなどが大分と山形で計589MWh(ためられる電気の量)の蓄電所の建設を始め、10月1日には住友商事が福島県浪江町で291MWhの蓄電所に着工した。国が新しい電源に長期の収入を約束する長期脱炭素電源オークションでは、これまでの3回で蓄電池が出力で計約370万kW落札された。送電網への接続を検討する申込は、2025年12月末で約1億7,200万kWにのぼる。

ただ、実際に送電網につながった系統用蓄電池は、同じ時点で約64万kWにとどまる。申込が殺到したため、国は2026年8月から、1社が同時に出せる接続検討の申込の数に上限を設けた。大型の蓄電所の多くは、運転開始が2028〜2030年の予定だ。

仮説

電池は中国製でも、蓄電所をつくる仕事は国内の会社に残るのでは?

蓄電池関連銘柄というと、電池メーカーの名前が挙がりやすい。だが蓄電所に使う電池のセルは、世界の出荷の約75%を中国の上位6社が占める。電池が増えても、その売上の多くは海外に向かう。

一方、蓄電所は電池を置くだけでは動かない。用地と送電網への接続の権利を取り、電池を送電網につなぐ機器や充放電を制御するシステムをそろえ、建てて、運用し、保守する。こうした仕事は、日本の土地と送電網に根ざすので、国内の会社に出番があるはずだ。

そこで、系統用蓄電池で実際に受注や売上があり、それが売上の大きな割合を占める会社を、刀で有報から探した。

01 / 入力

探したい企業像。

“We want companies that already report orders or sales for grid-scale battery storage, such as building, selling or equipping storage plants, and for which this business is a large part of revenue.”

日本語訳:系統用蓄電池(蓄電所)の機器・建設・開発・運用で実際に受注や売上があり、それが売上の大きな割合を占める会社を探したい。

刀のMCP連携を使い、Claudeが条件を組んで実行した。有報の主な欄に「系統用蓄電」「蓄電所」「定置用蓄電」「蓄電池システム」「パワーコンディショナ」「BESS」のどれかを書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。根拠ありと判定上位の会社は、有報の原文で確かめた。最新の決算と株価は、Claudeが各社の決算短信や説明資料で確かめた。判定とデータの時点は2026年11月3日、株価は11月2日の終値。

02 / 条件

この条件で、日本株全体を調べた。

A

定量条件

刀が独自指標で全社を計算する。

  1. 有報の主な欄に「系統用蓄電」「蓄電所」「定置用蓄電」「蓄電池システム」「パワーコンディショナ」「BESS」のどれかを含む
B

定性条件

AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。

  1. 系統用の蓄電池システム(電池を送電網につなぐ機器、充放電を制御するシステム、蓄電所の建設・運用・保守を含む)で、実際の受注・売上・完成案件を報告しているか。家庭用の蓄電池だけ、研究開発や今後の計画だけ、自社の施設で使うだけの場合は含めない。
  2. 蓄電池の事業(蓄電池と蓄電システム、その機器と制御システム、蓄電所の建設・運用・保守)が売上の15%以上か。有報がその割合を15%以上・最大または主力の事業と述べているか、主に蓄電池の事業からなる報告セグメントが売上の15%以上であることで示されるか。ほかの事業を含むセグメントは、その主が蓄電池だと有報が述べている場合だけ数える。

問いは英語で入れ、上から順に判定した。1問目は「系統用蓄電」「蓄電所」「BESS」を含む段落を先に読ませた。

約3,800社対象とする上場企業
110社定量条件に一致
7社AIが支持と判定
刀は

有報と最新の決算を読み、7社を選んだ。

03 / 結果

7社を載せた。どの会社も、蓄電所の売上か受注がある。

110社のうち、2つの問い(実際の受注・売上があるか、蓄電池が売上の15%以上か)とも根拠ありは4社、要確認は9社、反証ありは97社だった。原文と最新の決算で確かめて7社を載せ、蓄電所の開発・販売、蓄電システム、建設・設備、新しく参入した会社の順に並べた。

  • ウエストホールディングス1407 · 建設業

    「結果として、当初予定を2年前倒しで10か所の系統用蓄電所の開発販売を完了し、今後当面のパイプラインも大きく拡充することができました。」有報を見る ↗太陽光発電所の開発会社で、系統用の蓄電所を開発して投資家に売る事業を立ち上げた。有報の年度(2025年8月期)は蓄電所事業が売上の12%だったが、2026年8月期の決算でその売上は217億円と3.8倍になり、会社の営業利益の約3分の2を稼いだ。

  • グリーンエナジー&カンパニー1436 · 建設業

    「太陽光発電設備・系統用蓄電所事業では、主に個人向け投資商品や法人需要家向けの商品として太陽光発電設備の販売を行っており、太陽光発電設備の販売区画数は191.67区画、系統用蓄電所の販売は5件となりました。」有報を見る ↗太陽光発電所と系統用の蓄電所を開発して売る。有報の年度は蓄電所を5件販売した。最新の第1四半期(2026年5〜7月)は蓄電所の売上が19.6億円と全社の4割を超え、完成予定の受注が25件ある。

  • パワーエックス485A · 電気機器

    「(BESS事業)当事業は、主に大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」、中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」の販売及びメンテナンスを行っております。」有報を見る ↗岡山県玉野市の工場で大型の蓄電システムを組み立てて売り、運用や保守まで請け負う。電池のセルは調達する。蓄電システムの事業が売上の89%を占め、受注残は840億円(2026年8月時点)。

  • テスホールディングス5074 · 建設業

    「当連結会計年度においては、静岡菊川蓄電所及び東京センチュリー株式会社が組成する合同会社の系統用蓄電所のEPC等が順調に進捗したことから、前年同期比で売上が増加いたしました。」有報を見る ↗工場の省エネ設備や発電所の設計・建設を請け負う。有報の年度は蓄電所の工事が伸び、その事業の受注残は433億円とほぼ倍になり、94.5%が蓄電池だった。8月に約40億円の工事が解約になり、今期は減益を見込む。

  • 正興電機製作所6653 · 電気機器

    「公共分野における水処理施設向け監視制御システムや、産業分野における系統用蓄電所・データセンター向け大型案件が堅調に推移し、売上高は12,994百万円(前期比 9.4%増)、セグメント利益は、739百万円(同 118.4%増)となりました。」有報を見る ↗九州電力を主な取引先に、電力機器や監視制御システムを手がける。有報の年度(2025年12月期)は、系統用蓄電所とデータセンター向けの大型案件で、環境エネルギー部門の受注が45%増えた。最新の第3四半期までも、蓄電所を含むサービス部門の売上が66%増えた。

  • グリッド5582 · 情報・通信業

    「インフラアセット事業は、第4四半期より蓄電所開発に着手し工事が順調に進捗したことに加え、電力系統接続申請支援についても売上を計上いたしました。」有報を見る ↗電力や物流の計画をAIで最適化する会社。2026年6月期に蓄電所の開発を始め、それを担う事業の売上は7.6億円と前期の約12倍になり、売上の24%を占めた。今期はこの事業で15億円を計画する。

  • スターシーズ3083 · 小売業

    「以上の結果、系統用蓄電池事業の売上高は22億34百万円、セグメント利益は4億77百万円となりました。」有報を見る ↗もとは衣料品の小売。用地や送電網への接続の権利を取って蓄電所を建て、投資家に売る事業を始め、有報の年度に売上の22%を占めた。最新の中間期は6.7億円で、会社は下期に売上が偏ると説明している。

なお、AIが2問とも根拠ありとした4社のうち、Birdmanは載せなかった。蓄電池の事業を新しく始めた広告の会社だが、10月に資金繰りの悪化と、調達した資金を開示と違う使い道に使ったことを開示している。代わりに、ウエストホールディングス、グリーンエナジー&カンパニー、テスホールディングス、正興電機製作所の4社を加えた。ウエストホールディングスは有報の年度は蓄電所事業が売上の12%で15%に届かなかったが、その後の決算で3.8倍になった。残る3社は、蓄電所の売上を太陽光や設備工事と合わせて書いており、蓄電池だけの割合を有報から確かめられなかった。明電舎・ダイヘン・オムロン・ニチコン・安川電機・富士電機のように、電池を送電網につなぐ機器や制御システムを手がける大手も110社に入ったが、蓄電池は事業のごく一部だった。

04 / 考察

7社で蓄電所の利益がいちばん大きい会社が、PERはいちばん低かった。

7社について、蓄電池の事業が売上に占める割合、蓄電所の最新の数字、予想PERを並べた。PERは11月2日の株価と、会社が予想する今期の利益をもとにした値で、低い順に並べた。

会社蓄電池の割合蓄電所の最新の数字PER
ウエストHD38%売上217億円、3.8倍8.5倍
正興電機非開示関連部門 +66%9.5倍
スターシーズ22%上期 6.7億円14.3倍
グリーンエナジー4割超1Q 19.6億円17.4倍
テスHD非開示受注残 433億円17.7倍
グリッド24%今期計画 15億円21.1倍
パワーエックス89%受注残 840億円150倍超

蓄電池の割合は、蓄電池の事業が売上に占める割合。ウエストHDは2026年8月期、グリーンエナジー&カンパニーは最新の第1四半期の値で、有報の年度はウエストHDが12%、グリーンエナジーは太陽光と合わせて40%だった。正興電機とテスHDは蓄電所だけの売上を開示していない(テスHDは建設事業の受注残の94.5%が蓄電池)。正興電機の数字は、蓄電所を含むサービス部門の第3四半期までの累計の伸び。パワーエックスの今期の利益の予想には幅があり、PERは約150〜225倍になる。

ウエストホールディングスは2026年8月期に蓄電所事業で84億円の営業利益を上げ、会社全体の約3分の2を稼いだ。電池は主に東芝三菱電機産業システムから調達し、完成した蓄電所はファンドなどの投資家に売る。電池を自ら作らなくても、用地と送電網への接続の権利を押さえ、蓄電所に仕立てて売る仕事で、7社の中で最も大きな利益が出ている。

一方、蓄電システムを自社工場で組み立てるパワーエックスは、受注残が840億円と最も大きく、PERは150倍を超える。蓄電池関連銘柄として名前が挙がりやすいパワーエックスには、先の成長まで値段がついている。

いま蓄電所で最も稼いでいる会社が最も安く、蓄電池をつくる会社には先の成長まで値段がついている。

05 / 展望

需要は大きい。勝負を分けるのは、送電網につなげるかどうかだ。

需要ははっきりある。だが、接続の申込が殺到する一方で、実際に動いている蓄電所はまだ少ない。どの会社が勝つかは、まだ決まっていない。

勝負を分けそうなのは、電池の値段や性能より、送電網につなげられるかどうかだ。テスHDでは、発注者が負担する送電網への接続工事の費用が想定を大きく超え、約40億円の工事が解約になった。JESCOホールディングスは、接続の協議と工事が長引き、太陽光・蓄電所の売上が前期の約半分に減った。国は8月から接続検討の申込の数に上限を設け、契約の申込には用地の権利を示す書類も求める方針だ。申込を積み上げるだけでは、蓄電所にならなくなっている。

電池の側でも条件が変わる。国のオークションは次の回から、国が認定したメーカーのセルを使う蓄電池を優先して落札する。認定を受けたGSユアサの量産は、2028年10月からだ。

勝者になるのは、電池を安く仕入れる会社というより、送電網につながる案件を持ち、それを期限どおりに動く蓄電所にできる会社だろう。ウエストHDは接続の協議の申請を1,600件超抱え、案件を選び直す方針を示している。申込が蓄電所に変わっていく中で、つなげる会社とつなげない会社の差が、これから業績に出てくる。

あなたの投資先選びを、そのままAIに。

刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。複雑な仮説・企業像に対し、あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。

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