定量条件
刀が独自指標で全社を計算する。
- 有報の主な欄に「世界シェア」「世界トップ」「世界No.1」「世界第1位」「世界首位」「グローバルニッチトップ」のどれかを含む
市場に流れが来たとき、世界首位の製品なら取りこぼさないはずだ。刀は「世界シェア」「世界トップ」などの語を有報に書いた134社をAIに読ませ、自社の製品が世界首位だと言い切った21社を載せた。その流れがいまも続いているかは、最新の決算で確かめた。
市場には流れがある。いまはAIやサイバーセキュリティに注目が集まり、5年前には、半導体がここまで盛り上がると考えていた人は多くなかった。10月の米企業の決算でも、データセンター向けのハードディスクを作るシーゲイトは7〜9月期の売上が前年同期より61%増え、肥満症薬を売るイーライリリーは39%増えた。
ただ、流れが来ても、日本の会社の売上が増えるとは限らない。世界で需要が伸びても、それを取るのが海外の製品なら、日本の会社には届かない。
世界首位の製品なら話は別だ。買い手にとって代わりがなく、その製品が使われる市場に流れが来れば、恩恵を受けないことは考えにくい。そこで、まず世界首位だと有報に自ら書いた会社を探し、次に、その製品の流れが有報を書いた後も続いているかを、最新の決算で確かめた。
“We want companies whose annual report itself states that one of their products holds the No.1 global market share, and to check whether demand for that product is still growing.”
日本語訳:特定の製品で世界シェア首位だと有報に自ら書いている会社を探し、その製品の需要がいまも伸びているかを確かめたい。
刀のMCP連携を使い、Claudeが条件を組んで実行した。有報の主な欄に「世界シェア」「世界トップ」「世界No.1」「世界第1位」「世界首位」「グローバルニッチトップ」のどれかを書く会社に単語条件で絞り、この企業像を2つの問いにして英語で入れ、問いの順にAIに有報を読ませた。根拠ありと判定上位の会社は、有報の原文で確かめた。最新の決算と株価は、Claudeが各社の決算短信や説明資料で確かめた。判定とデータの時点は2026年11月1日、株価は10月30日の終値。
刀が独自指標で全社を計算する。
AIが有報を一社ずつ読み、支持と反証を判定する。
問いは英語で入れ、上から順に判定した。1問目は「世界シェア」「世界トップ」「世界No.1」を含む段落を先に読ませた。03 結果と04 考察は1問目までの結果で、2問目と最新の決算は05 深掘りで使った。
有報の文章を読み、21社を選んだ。
134社のうち、1問目(自社の製品が世界首位だと有報が言い切っているか)で根拠ありは24社、反証ありは35社、残る75社は確認できなかった。原文で確かめて21社を載せ、半導体、医薬品、水、自動車、そのほかの順に並べた。
「製品別では、先端レジストや、世界トップシェアのNTI現像液、同じく世界トップシェアの銅配線用CMPスラリーが、微細化と配線層の積層数増加に伴い販売が伸長し、後工程材料分野でも、AI半導体向け先端パッケージングの需要拡大に伴い、チップ間接続に使用される層間絶縁膜用の液型ポリイミドの販売が伸長しました。」有報を見る ↗
「当社の主な製品であるバッチ成膜装置は、2025年のバッチALD対応装置市場において売上高世界シェア1位(出典:TechInsights Inc. “TI_ALD Tools_YEARLY” (April 2026))となっております。」有報を見る ↗
「このような環境下、ソニーは、イメージセンサーにおける世界No.1ポジションをさらに強固なものとし、事業環境の不確実性が増している中でも収益性をともなう成長を実現するために経営基盤の再構築に取り組んでいます。」有報を見る ↗
「ヘルスケア事業では、医薬品精製材料において、市場拡大を見据えた先制的な製造能力増強により世界トップシェアの維持・拡大を図るとともに、核酸・ペプチド医薬などの成長領域において新たな事業基盤を構築すべくポリマーゲル市場への参入を目指します。」有報を見る ↗
「「RO膜法」による海水淡水化プロセスにおいて、大型・高圧ポンプは不可欠な心臓部であり、当社グループはこの分野で世界トップシェアを誇っております。」有報を見る ↗
「パワートレイン事業(これまでの自動車用エンジン軸受事業)におけるマーケットシェアにつきましては、2024年に引き続き、世界トップシェア(2025年暦年、当社推定)を達成いたしました。」有報を見る ↗
「世界トップシェアを誇るメーカーとして、HDD市場で拡大しているデータセンター用ハイエンド・サーバーからニアライン向け用途に対応した新製品の開発や、ピボットアッセンブリー専用グリースの開発を行っております。」有報を見る ↗
「半導体製造、診断等の領域においては、グローバルNo.1のシェアを誇るCD-SEM(注)及び生化学免疫・分析装置を中心とした計測・分析技術を起点にHMAXを展開し、Time to Market短縮や生産性向上、ダウンタイム低減を図ります。」有報を見る ↗
「特に当社が世界トップシェアを誇る三元系(ニッケル、マンガン、コバルト)正極用と需要が拡大するリン酸鉄系(LFP)正極に対応した新グレート開発の新グレード開発に注力しています。」有報を見る ↗
「クロロプレンゴムは世界トップシェア維持を確実なものとすべく、独自の技術で差別化した新規グレードを開発し事業の拡大を推進しています。」有報を見る ↗
「世界トップシェアのビジョンケア材料では、メガネレンズの長寿命化や防曇・調光などに貢献する高機能コーティング材・機器の製造・販売・研究を行う当社子会社であるSDC Technologies, Inc.が、研究開発機能及び製造機能を大幅に強化するため、本社を米国のカリフォルニア州アーバインから同州ランチョサンタマルガリータに移転することを決定しました。」有報を見る ↗
「2輪事業では、世界トップシェアのトランスミッションアッセンブリィをはじめICE(エンジン車)向け部品が好調で、特にインド市場が大きく成長しました。」有報を見る ↗
「OHT市場の約40%を占めると予測される農業・林業用機械向けタイヤでは、当社グループがトップシェアを誇っており、Tier(ティア)1~Tier3までティアごとに持つ生・販・技の強みを活かした「マルチブランド戦略」でさらに市場地位を強化します。」有報を見る ↗
「結果、中国国内シェアが大きく拡大したほか、中資系ワイパーシステムメーカーと協働した欧州系メーカーへの拡販も進んだことで、ワイパーブレードラバーの世界シェアは2024年度の50%から58%へ増加しております。」有報を見る ↗
「当連結会計年度においては、IC供給不足の影響も受けたものの、塗布型セパレータや車載光学部品を中心に車載用製品は増収となりました。」有報を見る ↗
「航空管制用途向けについては、全世界における市場シェアNo.1のポジションを維持しております。」有報を見る ↗
「当事業セグメントは、世界トップシェアを有するオフィス向け複合機をはじめ、プリンター・スキャナー等の画像機器、さらにデジタルによるコミュニケーションを支えるエッジデバイスの開発・生産(OEMを含む)に取り組んでおります。」有報を見る ↗
「当社は、1961年に製菓機械メーカーとして創業、そして、1981年に世界初の量産型小型寿司ロボットを開発し、世界の90ヵ国以上に寿司ロボットを販売する世界シェアNo.1企業へと成長してまいりました。」有報を見る ↗
「アセロラは、ニチレイフーズが世界シェアNo.1(ニチレイフーズ推計)となっています。」有報を見る ↗
「売上世界No.1として6年連続でギネス世界記録™に認定された刺す化粧品「ディープパッチシリーズ」」有報を見る ↗
「中でも、化粧水・乳液・クリーム・美容液・パック・化粧下地・ネッククリームの最大7役を1品で果たす主力商品である「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズ」は、顔用保湿ジェル市場売上世界No.1として、ギネス世界記録(TM)に認定(※)されております。」有報を見る ↗
なお、AIが根拠ありとした24社のうち5社は、原文で確かめて載せなかった。太陽ホールディングス・住友電気工業・エクセディは原文が「世界トップクラス」「世界トップレベル」で首位の明言ではなく、ニレコは提携先の世界シェア、ソースネクストは他社製のエンジンの話だった。根拠を確認できなかった大阪ソーダとフコクは、原文で首位を確かめて加えた。フコクは「首位」の語を使わないが、ワイパーのゴムの世界シェアが58%と過半を占める。東京エレクトロンやディスコのように半導体で大きなシェアを持つ会社の多くは、有報の主な欄に首位を示す語を書いておらず、今回の134社に入っていない。
首位の製品が伸びても、それが会社の売上のごく一部なら、会社の数字はあまり動かない。そこで、首位の製品を含む事業が売上に占める割合を有報で確かめられた16社について、その割合と予想PERを、割合の大きい順に並べた。PERは10月30日の株価と、会社が予想する今期の利益をもとにした値だ。
| 会社 | 世界首位の製品 | 売上比率 | PER |
|---|---|---|---|
| 酉島製作所 | 淡水化ポンプ | ほぼ全部 | 13.5倍 |
| 新日本製薬 | 保湿ジェル | 大半 | 12.5倍 |
| 鈴茂器工 | 寿司ロボット | 主力 | 14.4倍 |
| KOKUSAI | 成膜装置 | 60% | 29.1倍 |
| 大同メタル | エンジンの軸受 | 53% | 10.2倍 |
| フコク | ワイパーのゴム | 47% | 11.8倍 |
| クレハ | 電池のバインダー | 38% | 21.4倍 |
| マクセル | 車載用の電池 | 33% | 12.5倍 |
| デンカ | 合成ゴム | 25% | 16.5倍 |
| ソニー | イメージセンサー | 17% | 19.3倍 |
| ミネベアミツミ | HDDの部品 | 17% | 14.4倍 |
| EIZO | 航空管制モニター | 15% | 17.5倍 |
| 三井化学 | メガネレンズ材料 | 15% | 16.8倍 |
| 大阪ソーダ | 医薬品の精製材料 | 15% | 15.7倍 |
| 富士フイルム | 現像液・研磨剤 | 14% | 15.0倍 |
| リコー | 複合機 | 7% | 16.6倍 |
売上比率は、首位の製品を含む事業の割合。酉島製作所のPERは、一時的な利益を除いた会社の見込みで計算した。
首位の製品を含む事業が売上の3割以上の8社は、PERの中央値が13.0倍。3割未満の8社は16.6倍だった。3割未満の側には、ソニーや富士フイルム、三井化学のような大企業が並び、首位の製品は多くの事業のうちの一つにとどまる。3割以上の側で高いのは、半導体のKOKUSAI ELECTRIC(29.1倍)と、電池材料のクレハ(21.4倍)くらいだ。
首位の製品が柱であるほど、首位の強さは会社の業績に直接響く。それでも市場は、首位の製品に業績を預けている会社ほど、安い値段をつけている。
有報は決算期末から3か月ほど後に出るので、書かれた流れは半年から1年前のものだ。そこで、首位の製品が柱の8社について、有報の年度の伸びと、その後に出た最新の四半期決算(2026年4〜9月)の伸びを並べた。最新の決算は、刀MCPでつないだClaudeが各社の決算短信や説明資料で確かめた。
| 会社 | 有報の年度 | 最新の四半期 | PER |
|---|---|---|---|
| KOKUSAI | 売上 −1.6% | 売上 +45.6% | 29.1倍 |
| 酉島製作所 | 売上 +7.4% | 受注 +43.2% | 13.5倍 |
| マクセル | 電池 ±0% | 電池 +41.8% | 12.5倍 |
| 鈴茂器工 | 売上 +1.9% | 売上 +16.6% | 14.4倍 |
| フコク | 機能品 +3.7% | 機能品 +7.8% | 11.8倍 |
| 大同メタル | 軸受 +4.3% | 軸受 +3.4% | 10.2倍 |
| クレハ | バインダー減 | 回復見えず | 21.4倍 |
| 新日本製薬 | 売上 +2.7% | 主力品が減収 | 12.5倍 |
伸びは前年同期比。マクセルの電池は、村田製作所から譲り受けた電池事業を含む。酉島製作所の売上は中東向けの船積みが遅れて減ったが、会社は世界トップシェアの淡水化ポンプについて、需要は依然として堅調だと説明している。
いちばん大きく変わったのは、KOKUSAI ELECTRICだ。有報の年度は売上が減ったが、生成AI向けの高性能なメモリーへの投資が戻ると、次の四半期に売上が46%増え、会社は通期の予想を引き上げた。首位の製品は、流れが戻れば、それを取り込む。
反対に、流れそのものが止まった製品では、首位でも伸びない。クレハの電池用バインダーは、EVの普及が遅れて減損を計上し、最新の決算でも需要が回復基調に戻ったとまでは見通せていない。新日本製薬は、首位の保湿ジェルの売上が減った。
有報は、首位の製品とその流れを、全社について同じ形で教えてくれる。そこで拾った会社の流れを最新の決算で確かめると、柱の8社のうち6社で流れは続いていた。それでもPERは、KOKUSAI ELECTRICを除けば10〜14倍にとどまり、話題の分野にいない首位の会社は、流れが続いていても安く置かれている。いまは話題の外にいても、市場の流れが変わり、その製品が話題の中心に来れば、首位の会社として注目されるかもしれない。
刀が独自指標で企業を絞り込み、AIが有報を読んで定性条件を判定する。複雑な仮説・企業像に対し、あなたが一社ずつ行っていた選定を、AIが日本株全体で実行する。
スクリーナーを開くほかの実例
キーエンスのような会社を、日本株全体から 半導体の隠れ銘柄を、日本株全体から探した データセンター建設で伸びる銘柄を、日本株全体から探した 原子力関連銘柄を、日本株全体から探した 液冷データセンター関連銘柄を、日本株全体から探した